利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.04.03】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24BA0008

利用課題名 / Title

スピントロニクス材料の評価と素子作製

利用した実施機関 / Support Institute

筑波大学 / Tsukuba Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

ワイヤーボンディング/ Wire Bonding,スピントロニクスデバイス/ Spintronics device,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,光リソグラフィ/ Photolithgraphy,膜加工・エッチング/ Film processing/etching


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

柳原 英人

所属名 / Affiliation

筑波大学数理物質系

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

BA-015:X線光電子分光装置
BA-024:ワイヤボンダー
BA-025:終点検出器付き イオンミリング
BA-009:パターン投影リソグラフィシステム


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

スピネルフェライトを始めとするスピネル型酸化物磁性体は、室温に比べて十分に高いキュリー温度を持つものも多く、また構成元素に応じて様々な磁気特性を示す魅力的な酸化物磁性体である。このスピネル型の酸化物磁性体をスピントロニクス材料として利用するためには、複数の酸化物を積層した際の界面における磁気的現象を明らかにしこれを積極的に用いることが必要である。この研究では、絶縁性のスピネルフェライトであるCoFe2O4(CFO)と2種類の導電性磁性酸化物薄膜との界面での層間交換結合について実験的に調べた。1つ目の導電性磁性酸化物薄膜は、古くから知られているFe3O4(マグネタイト)薄膜、そして2つ目は同じくスピネル型酸化物のNiCo2O4(NCO)である。いずれもMgO(001)面上にヘテロエピタキシャル成長させたものを試料として用いた。

実験 / Experimental

MgO(001)上に成長したCFOは大きな保磁力を持っった垂直磁化膜となる。そしてCFO上のFe3O4やNCOは面内磁化膜となることから、界面での層間結合によりFFe3O4やNCOの磁化曲線にシフトが現れ、その方向によって層間結合の向きが決められる。Fe3O4とNCOは導電性であることから、異常ホール効果(AHE)を調べることでこれらの磁性膜単体の(CFOを除いた)磁化曲線を評価することができる。試料は反応性マグネトロンスパッタリングにより成長させた。CFOの膜厚は40 nmとし、その上に成長させたFe3O4やNCO(001)薄膜には、5-30 nmとなる膜厚の傾斜をもたせた。作製した試料についてXPSを用いて、カチオンの価数の同定を試みた。またフォトリソグラフィーとイオンミリングを用いて、により図1に示すようなパターンを作製し、ワイヤボンダにより配線をした。素子の膜面に対して垂直方向に磁場を印加、図の左右方向に電流を流し、縦方向の電圧を測定することで異常ホール効果を測定した。電圧端子の位置を変えることで異なる膜厚での磁化過程を評価した。

結果と考察 / Results and Discussion

CFO/NCO(001)について異常ホール効果測定を行った一例を図2に示す。図中の青い曲線は外部磁場を減少させたときの磁化過程を、オレンジの曲線は増加させたときの磁化過程を示している。この磁化過程は上部層のみ導電性を持つことから上部層のみの磁化過程を反映していると考えられる。NCO は外部磁場の減少に伴い、ホール抵抗率もなだらかに減少していき、印加磁場が1.26 T のときホール抵抗率が0 になった。これはNCO の平均的な磁気モーメントが面内方向を向いていると考えられる。さらに磁場を減少させるとのホール抵抗率は負の値をとり、0 Tまでは小さくなっていく。このことから界面近傍の層間交換結合はCFO の磁化方向に対し反強磁性的に結合していると推測できる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 作製したホールパターン



図2 CFO/NCO(001)膜のAHE曲線


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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