【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.04.14】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24IT0048
利用課題名 / Title
EVG ナノインプリント装置を利用した紫外線硬化高屈折率樹脂の開発
利用した実施機関 / Support Institute
東京科学大学 / Science Tokyo
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials
キーワード / Keywords
高屈折率樹脂、ナノインプリントリソグラフィ,成形/ Molding,リソグラフィ/ Lithography,光導波路/ Optical waveguide,フォトニクスデバイス/ Nanophotonics device,光デバイス/ Optical Device,メタマテリアル/ Metamaterial,ナノ粒子/ Nanoparticles
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
山田 快斗
所属名 / Affiliation
HighRI Optics, Inc.
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
光学応用用途にてナノインプリント可能な高屈折率樹脂の需要が高まっているが、樹脂の光学性能だけではなくナノインプリント性能が、実用化に向けて非常に重要な位置を占めている。様々な会社からナノインプリント装置が販売されているが、それぞれが異なった特徴やプロセスパラメーターを持っているため、それぞれの装置を用いてプロセスの選定、樹脂のナノインプリント性の評価を行うことが重要である。本研究では産業界で広く用いられているEVG社製のナノインプリント装置を用いて、弊社が開発するナノインプリント用高屈折率樹脂の評価、開発をする。ナノインプリントされた樹脂は走査型電子顕微鏡を用いて評価する。
実験 / Experimental
EVG社製EVG620NTを用い、HighRI Opticsが開発したHRI1.70とHRI1.90の二種類の紫外線硬化高屈折率樹脂をナノインプリントに使用した。HRI1.70は590nmにおける屈折率が1.70の樹脂でナノ粒子を一切含まず、HRI1.90は590nmにおける屈折率が1.90の樹脂でナノ粒子を含むナノコンポジットマテリアルである。
まず、EVG620NTを用いて専用のPETシートにレプリカモールドを作成した。使用したマスターモールドは高さ120nm、線幅200nmのライン&スペースパターンが1.5インチ四方にパターニングされたシリコン基板で、フルオロアルキルシランで離形コーティングが施されたものである。使用したプロセスはEVG社のレプリカモールド作成用標準プロセスで、2krpmでスピンコートされたUV/AS 5にProximity 525µm、Imprint speed 19.960 mm/s、Exposure time 400 secondsの条件を用いて転写した。
続いて、このレプリカモールドを用いてHRI1.70、HRI1.90を様々なナノインプリント条件でそれぞれ40J/cm2、2.5J/cm2の紫外線照射を行い、ナノインプリントされたライン&スペースパターンを走査型電子顕微鏡を用いて観察しパターン形状を評価した。
結果と考察 / Results and Discussion
固形分が25%のHRI1.90を2krpmでスピンコートし、Proximity
525 µm、Imprint
speed 2.994 mm/sでナノインプリントをしたサンプルと、固形分が15%のHRI1.90を同条件でナノインプリントしたサンプルの電子顕微鏡像をそれぞれ図1に示した。どちらもモールドの再現性良くナノインプリントがされており、断面像からもライン&スペースパターンが完全に充填されていることがわかる。
次に固形分が20%のHRI1.70を2krpmでスピンコートし、Proximity
525 µm、Imprint
speed 2.994 mm/sでナノインプリントをしたサンプルの電子顕微鏡像を図2に示した。ライン&スペースが隣同士で接触し、パターン崩壊をしている箇所が数多くみられる。断面像を観察したところ、ライン&スペースが完全に充填されておらず、矩形上の構造の角が丸くなり波を打っていることがわかる。図3に同一の紫外線硬化樹脂を別のナノインプリント装置(Lawrence
Berkeley National LabのThe
Molecular Foundry所有)でパターニングをした電子顕微鏡像を示した。二つの結果の比較から、EVG620NTを用いてナノインプリントをした際の紫外線硬化樹脂の成膜条件、もしくはナノイプリント条件が最適ではなかった可能性を考慮し、スピンコート後のプレベーク条件とナノインプリント条件を変えパターニングを行った。表1にプレベークとProximityの条件を、図4にそれぞれのサンプルの電子顕微鏡像を示した。いずれの条件においても図2のサンプル同様パターンの崩壊、未充填が確認された。EVG620NTを用いてHRI1.70の成型がうまくいかなかった理由としては、EVG620NTは他のナノインプリント装置と比べて成型時にかけられる圧力が低いことが一因と考えられる。
固形分が10%のHRI1.70を用いて行ったナノインプリント試験では、いずれの条件においても肉眼で干渉色の確認ができないほどライン&スペースパターンが崩壊しており、紫外線硬化樹脂の膜厚もインプリント性の主要なパラメータであることが分かった。
以上の結果より、HRI1.90はEVG620NTを用いて良好に成型可能であったが、HRI1.70は樹脂の充填性と機械特性に問題があることが分かった。今後樹脂の改良を行い、産業界で広く用いられているEVG社製装置でHRI1.70が成型できるように開発を進めていきたい。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 (a)固形分25%のHRI1.90と(b)固形分15%のHRI1.90のナノインプリント結果
図2 固形分20%のHRI1.70のナノインプリント結果
図3 HRI1.70を別のナノインプリント装置を用いてパターニングした電子顕微鏡像
表1 固形分20%のHRI1.70のナノインプリントに用いたプレベークとProximity条件
図4 表1の条件でそれぞれナノインプリントされたサンプルの電子顕微鏡像
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件