利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.04.11】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24WS0191

利用課題名 / Title

マイクロチャンネルによる化学反応促進と反応メカニズム解明

利用した実施機関 / Support Institute

早稲田大学 / Waseda Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

実体顕微鏡, 各種水溶液, 有機溶液, マイクロチャンネル/ Micro channel, 化学反応/ Chemical reaction,成形/ Molding,リソグラフィ/ Lithography,光リソグラフィ/ Photolithgraphy,流路デバイス/ Fluidec Device,μTAS,光学顕微鏡/ Optical microscope,MEMS/NEMSデバイス/ MEMS/NEMS device


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

古谷 正裕

所属名 / Affiliation

早稲田大学 先進理工学研究科 共同原子力専攻

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

小林雅史,山中康平

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

WS-014:紫外線露光装置
WS-016:レーザー直接描画装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

マイクロ流路を用いることで微小体積の液体を制御することが可能である。この特徴を活かし、必要な試薬量の大幅な削減を行うことが可能である。本研究ではマイクロ流路を用い、油中に直径100 µm程度の水液滴を生成し、その溶液内で化学反応を行う。液滴内での化学反応は液滴を閉じた一つの実験系として扱うことが可能なため、異なる実験条件を各液滴内で行いそれらの結果を比較することが可能であるという点で優れている。本研究ではマイクロ液滴の合体により2つの反応物の混合を行う。また、マイクロ液滴の合体手法を変化させることで内部での混合を変化させマイクロ流路内での化学反応促進を試みる。研究を行うにあたりマイクロ流路の作製を行った。本研究ではPDMSを材料とするマイクロ流路の作製を行う。PDMSマイクロ流路作製のため、レジストをSi基板上に流路形に成形する必要がある。そのため、流路形をCADファイルで作製することでそのCAD内の囲われた領域を露光することの可能なWS-016(MAL150)を利用し、レジストの露光と流路成形のための鋳型の作製を行った。

実験 / Experimental

WS-014、WS-016を用いてマイクロチャネル作製に用いる鋳型の作製を行った。WS-014はマスクの存在する流路形を露光するために利用した。また、WS-016はマスクの存在しない流路形を露光するために利用した。レジストとしてSU-8 3050を100 µmで塗布した。レジスト塗布後、60℃で5分、105℃で60分加熱することでSi基板上にレジストを密着させた。なおこの温度はホットプレートの温度である。SU-8のデータシートでは95℃との指定があるが上部のSU-8は部屋の空気によって冷却されるため105℃での加熱を行った。マイクロ流路内での化学合成は図2へ示す手法で行った。2つの溶液をオイル中に液滴として分散させ、それらを流路を拡大することによって衝突させ2つの溶液を混合させる。合体した液滴内で生成物である酸化銀の沈殿の観察を行う。

結果と考察 / Results and Discussion

図1へ作製したマイクロ流路用の鋳型の写真を示す。WS-014では250 mJ/cm2, WS-016では2,000 mJ/cm2, defocus-2で露光することで目的の形状を作成することに成功した。露光量に差が出た理由としてWS-014とWS-016では光源が水銀ランプとレーザーで異なっていることが挙げられる。露光後に65℃で1分100℃で10分間加熱し露光されたレジストの基板への密着性を向上させた。加熱後、十分に基盤が冷却されたことを確認した後、現像液であるSU-8 Developerに浸し10分間放置した。更に新しい現像液に5分ほど浸し現像されていないレジストを完全に除去した。現像後の基板はIPAで洗浄し基板上のSU-8 Developerを除去した。
作製後の鋳型にPDMSを流し込みデバイスを作製したが鋳型は破壊されなかった。この手法でPDMS流路作製に耐えうる鋳型の作製に成功した。
液滴の衝突速度を変化させた時の沈殿物生成の速度を定量化した結果を図3へ示す。結果より液滴合体速度が速いほど沈殿物の液滴内に占める割合が大きいことが示された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 作製した鋳型の写真



図2 マイクロ流路内で液滴を用いた化学反応の概略図



図3 液滴合体速度と沈殿の液滴内に占める割合の関係


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

WS-016を利用するにあたり,専門嘱託職員の加藤 篤様には装置利用のためのご指導を賜りました。感謝申し上げます。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 小林雅史, "マイクロ流路内の液滴移動検出と温度分布制御による量子ドットの特性探索", 第15回マイクロ・ナノ工学シンポジウム(仙台), 令和6年11月27日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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