利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.05.13】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24OS0031

利用課題名 / Title

マイクロチップレーザーを利用したカーボン被覆金ナノ粒子の合成研究

利用した実施機関 / Support Institute

大阪大学 / Osaka Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

金属ナノ粒子,レーザーアブレーション,カーボン被覆材料,電子顕微鏡/ Electronic microscope


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

櫻井 英博

所属名 / Affiliation

大阪大学 工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

燒山 佑美

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

市川 聡,佐藤和久,畑中修平

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

OS-003:200kV原子分解能走査透過分析電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 金属ナノ粒子はその粒径サイズや金属の組み合わせ、表面保護剤の種類・鎖長の違いによって、その電子特性および触媒活性を大きく変化させる。近年、我々はマイクロチップレーザーを用いたAuナノ粒子の調製について研究を行っている。特にトルエンを溶媒として、ポリスチレンを共存させた条件では、1.8 nm程度と微小サイズのAuナノ粒子が得られることを確認している。一方ポリスチレンが存在しない場合はカーボン層に埋め込まれる形で、より粒径の大きなAuナノ粒子が得られており、この場合カーボン層が結晶性を有することをTEM測定から明らかにしている。一方、前者においてはDLS測定からカーボン層が存在することが示唆されたものの、通常のTEM測定では観測することができなかった。この理由として、ポリスチレンの有無に応じてカーボン層の結晶性が変化することや、ポリスチレンが共存することによる熱伝導性の低下のためにカーボン層が極めて薄くなってしまう可能性が想定される。 そこで本研究では、高分解能TEMを用いて、ポリスチレン共存系で得られたAuナノ粒子観察を行い、カーボン層の有無を確認する。これにより、ポリスチレンがAuナノ粒子合成プロセスで及ぼす影響解明のための一助とした。またこのカーボン層への酸素修飾や中心金属の合金化についても併せて検討を行った。

実験 / Experimental

測定に際しては、大阪大学の日立製H-9000NAR顕微鏡、日本電子製JEM-ARM200F電子顕微鏡を加速電圧200kVとして用いた。サンプル調製には、カーボン支持膜をコーティングしたCu製マイクログリッド上に、レーザーアブレーション実験により得られたカーボン被覆Au NCまたは合金NC(400 mM ポリスチレン/トルエン溶液、レーザー出力 104 mWとして調整)を分散・乾燥させたものを用いた。なお、スピンコーティング法により還元型グラフェン酸化物とカーボンコーティングを施し、銅グリッド上のカーボン層の厚みを最小限に抑えることで、コントラストの向上を狙った。

結果と考察 / Results and Discussion

測定の結果、通常のTEM測定では判別出来なかった結晶性カーボン層の存在が明らかとなった(図)。層の厚みは1 nm程度であり、アブレーション時のポリスチレンの有無に応じて、中心金属コア(ここではAu)のサイズのみならず、被覆カーボン層の厚みを制御可能であることを明らかにした。さらに、被覆カーボン上への酸素修飾を狙ったサンプルについては、予想通りTEM-EDXの結果から粒子全体に対して酸素原子が分布していることが分かった。今後はその化学状態についても詳細な検討を重ねていく予定である。また合金NCについては、TEM-EDX測定に加え、STEM観察もおこなった。その結果、各金属原子は固溶しているわけではなく、ある一定のドメインサイズを持って結合しているような状態であることが明らかとなった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1.ポリスチレン存在化でのレーザーアブレーションにより得られたカーボン被覆AuNC


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

測定にあたっては、超高圧電子顕微鏡センター の市川 聡 特任教授、佐藤和久 准教授、畑中修平技術職員に大変お世話になりました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Jakub S. Cyniak, A New Generation of Sumanene‐Based AIEgens for the Effective Recognition of Metal Cations in Solutions Containing 95 vol % of Water, Chemistry – A European Journal, 31, (2025).
    DOI: 10.1002/chem.202500705
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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