【公開日：2025.06.10】【最終更新日：2025.04.22】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24KU0104
利用課題名 / Title
動的変形観察による軽水炉圧力容器鋼中のMnNiSi溶質原子クラスタの照射硬化挙動
利用した実施機関 / Support Institute
九州大学 / Kyushu Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】（主 / Main）計測・分析/Advanced Characterization（副 / Sub）-
【重要技術領域 / Important Technology Area】（主 / Main）次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials（副 / Sub）革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion
キーワード / Keywords
原子力材料,電子顕微鏡/ Electronic microscope
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名（課題申請者）/ User Name (Project Applicant)
福元 謙一
所属名 / Affiliation
福井大学附属国際原子力工学研究所
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
杉本隼飛,佐藤洸太朗
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
前野宏志
利用形態 / Support Type
（主 / Main）共同研究/Joint Research（副 / Sub）-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要（目的・用途・実施内容）/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
軽水炉圧力容器（RPV）の照射脆化は重要な老朽化現象であり，主要な課題の一つである．運転中中性子照射によってRPV鋼中に照射欠陥が生成される．先行研究において低Cu含有RPV鋼に照射誘起析出でMn-Ni-Si析出物の形成が報告されている．運転下のRPV鋼の寿命を予測するためには，転位と照射欠陥に関連する転位の動的変形挙動を観察し，微細構造情報から巨視的な機械的性質の変化を予測することが重要である．『その場』引張試験を用いた透過型電子顕微鏡（TEM）観察技術は，従来のTEM観察では得られない微細な情報を提供する手法である． 本研究では，Niイオン照射したFe-Mn-Ni-Siモデル合金に対するTEM内引張『その場』観察試験より,転位と照射欠陥の相互作用からMn-Ni-Siクラスタの照射硬化寄与評価について情報を得る．
実験 / Experimental
本研究で使用する材料は，CuフリーRPV鋼モデル合金（Fe-1.5Mn-0.6Ni-1Si）である．照射実験は，若狭湾エネルギー研究センター（WERC）タンデム加速器にて15MeV Niイオン照射を行った．照射温度290℃で，照射損傷量は深さ1.0μmにて最大ピーク位置となり0.6 dpaであった．照射後、損傷組織の表面出しと背面研磨によりTEM内引張試験用試料を作製した．透過型電子顕微鏡（福井大学：JEM-2100TM, 九州大学：JEM-1300NEF）を使用して，室温にてTEM内引張『その場』観察を行った．運動転位と溶質原子クラスタあるいは転位ループとの相互作用の観察から転位が障害物にピニングしたときの張出し角度から障害強度αを算出した．硬さ試験はELIONIX ENT-2100ナノインデンターを使用して，照射前後の硬さの違いを評価した．
結果と考察 / Results and Discussion
TEM内引張『その場』観察の結果、損傷領域において運動転位が照射欠陥にピニングされる様子が確認された．Fig.1に運動転位が弱い障害物にピニングされる様子を示す．転位と障害物の相互作用の違いにより，障害物を二種類に区分して評価した．TEM内引張その場観察試験からはMnNiSiクラスタは弱い障害物として評価され、その障害物強度αの値は0.33と算出された，先行研究から圧力容器鋼で観察される銅濃縮析出物（CRP)と同程度の障害物強度（αCRP≈0.29）を得られている．これからMnNiSiクラスタの障害物強度はCRPと同程度であることが推測される。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig.1 Niイオン照射により形成された溶質原子クラスタと転位のピニングの離脱過程。白線で表した転位のピニング前後の挙動を示す。
その他・特記事項（参考文献・謝辞等） / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング（DOIのあるもの） / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 杉本隼飛、野志勇介、石神龍哉、安田和弘、福元謙一、”Fe-Mn-Ni-Siモデル合金での溶質原子クラスタと運動転位の相互作用に関する研究”、日本金属学会春期大会、（東京都立大）令和7年3月10日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications：0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents：0件