【公開日：2025.06.10】【最終更新日：2025.04.21】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24KU0101
利用課題名 / Title
遷移金属酸化物におけるナノ構造形成過程の解明
利用した実施機関 / Support Institute
九州大学 / Kyushu Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】（主 / Main）計測・分析/Advanced Characterization（副 / Sub）-
【重要技術領域 / Important Technology Area】（主 / Main）量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions（副 / Sub）-
キーワード / Keywords
ナノ構造, 結晶構造, 相転移,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名（課題申請者）/ User Name (Project Applicant)
堀部 陽一
所属名 / Affiliation
九州工業大学工学研究院 物質工学研究系
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
村上 恭和,工藤 昌輝,中尾 辰也
利用形態 / Support Type
（主 / Main）共同研究/Joint Research（副 / Sub）-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
KU-019：汎用電子顕微鏡
KU-009：ハイコントラスト補助電子顕微鏡
KU-018：イオンビーム・電子ビーム複合型精密加工分析装置
報告書データ / Report
概要（目的・用途・実施内容）/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
スピネル型マンガン酸化物(Co,Fe,Mn)3O4において、2種類の磁性ナノロッドが高秩序に配列したチェッカーボード型ナノ組織の形成が報告されており、大きな形状異方性から高い保持力と磁化を有することが明らかとなっている [1,2]。チェッカーボード型ナノ組織形成の主要な制御因子として、ヤーン・テラー歪を伴うMn3+イオン量や結晶粒サイズなどの様々な要因の存在が示唆されている。しかしながら、試料作製雰囲気によるナノ組織形成および成長への影響について、系統的な研究はこれまで行われていない。そこで本研究では、酸素雰囲気中で熱処理したCo0.6Fe0.9Mn1.5O4において粉末X線回折法と透過型電子顕微鏡を併用した結晶学的・組織学的研究を行うことにより、酸素雰囲気によるナノ組織への影響について明らかにした。
実験 / Experimental
本研究に用いた試料は、酸素雰囲気中でアニールを行ったセラミックス試料である。アニールは、334℃において84-336時間保持することにより行った。ナノ組織観察は、アルゴンイオンミリング法を用いて薄片化した試料を用い、透過型電子顕微鏡を利用して実施した。
結果と考察 / Results and Discussion
酸素素雰囲気中で熱処理を行った試料におけるナノ構造について調べるため、透過型電子顕微鏡観察を行った。電子回折図形中には、本系で観察されるチェッカーボード型ナノ構造やラメラ型ナノ構造の出現を特徴づける、800位置周りに<100>方向に沿って分裂した4つの回折斑点が観察された。これらの回折斑点を用いて結像された暗視野像から、これらの回折斑点は2種類の正方晶ナノドメインおよび2種類の立方晶ナノドメインに対応することが見出された。これらのナノドメインサイズが約11 nm×16 nmであり、アルゴン雰囲気中熱処理および大気中熱処理において得られたドメインサイズ（それぞれ3 nm×4 nm、および6 nm×7 nm）と比べナノドメインの成長が分かった。この結果から、試料作製雰囲気を変化させた際のナノ組織サイズの変化が明らかとなった。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
酸素処理試料において得られたチェッカーボード型ナノ構造および対応する電子回折図形
その他・特記事項（参考文献・謝辞等） / Remarks(References and Acknowledgements)
参考文献： [1] C. L. Zhang et. al., Appl. Phys. Lett. 91, 233110 (2007). [2] Y. Horibe et. al., AIP Conf. Proc. 1763, 050005 (2016).謝辞： 本共同研究の実施にあたり、村上恭和 教授に多岐にわたる多大な御助力を賜りました。心より感謝致します。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング（DOIのあるもの） / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications：0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents：0件