利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.05.12】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24IT0062

利用課題名 / Title

UVC照射によるネガ型レジストの電子ビーム露光特性の評価

利用した実施機関 / Support Institute

東京科学大学 / Science Tokyo

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

電子線リソグラフィ/ EB lithography


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

田村 茂雄

所属名 / Affiliation

東京科学大学 未来産業技術研究所 

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

宮本恭幸

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

宮本恭幸

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

IT-038:電子ビーム露光装置
IT-006:走査型電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

電子ビーム露光による微細加工は、数ナノメートルまで収束可能な電子ビームにより微細加工性に優れ、任意のパターン形状の露光が可能である。この方法はナノテクノロジーを利用した少量多品種のパターンが必要なデバイス研究にとり、非常に有効なパターン作製法である。電子ビームの更なる微細化の要求から、色収差、回折収差を低減するため加速電圧の高加速化が行われている。加速電圧50kVでは、ビーム径3.5nmに対し100kVでは1.8nmとなる。また高アスペクト比が必要なLIGAプロセス等の微細構造作製のためにも高加速電圧化は有効である。しかし、加速電圧が高いと後方散乱電子や近接効果の影響が極めて小さくなり電子ビームはレジスト内部を露光せず通過する割合が多くなる結果、レジストの露光効率が低下する。レジスト感度は加速電圧に反比例し、加速電圧をEとすると∝lnE/Eの関係がありパターン形成には加速電圧100kVでは50kVの約2倍の露光量が必要となる。 加速電圧100kVの感度低下を補うためネガ型レジストに電子ビーム露光後にUVC光(波長255nm)を照射することにより電子ビーム露光感度が向上し、感度特性の改善が得られた。

実験 / Experimental

実験に使用した試料は、ネガ型レジストma-N2405(micro resist technology GmbH製)をSiウェハにHMDS表面処理後にスピンコーティングし、ホットプレートで90℃90secプリベークし作製した。電子ビーム露光装置は、JBX-8100FS(日本電子製)を使用した。ードを使用した。電子ビーム露光は加速電圧100kV、ビーム電流1nA、1000μm□フィールドで行った。現像は専用現像液D-525で60sec、リンスは純水で60sec行った。UVC照射は波長255nmにピーク波長をもつUVC-LEDを使用した。UVC照射によるレジストの感度特性の測定はma-N2405をSiウェハに膜厚700nmスピンコートした後、5µm×50µmのパターンについて露光量を5~300µC/cm2(step 5µC/cm2)で電子ビーム露光した。露光後①UVC照射しないもの,②UVC 1.68mJ/cm2照射,③UVC 2.64mJ/cm2照射した試料を現像後、段差計(KLA Tencor社P-7)で膜厚を測定した。図1にUVC照射による感度特性の変化を示す。この結果から露光感度とγ値の変化を表1に示す。パターン形成に必要な電子ビーム露光量は、低下していることが確認できるがγ値も低下している。
レジスト膜厚200nm、パターン幅200 nmの電子ビーム露光を行いD-525により60sec現像,純水で60secリンス後のパターンをSEM(走査型電子顕微鏡S-5200日立ハイテク製)により観察した。UVCを照射しないで現像した写真を図2図3に,UVC 2mJ/cm2照射後の写真を図4図5に示す。 UVC照射の影響でパターンの広がりが観察できるがパターン形成可能な電子ビーム露光量がUVC照射の影響で低下した。UVC未照射の130µC/cm2(図2)に対し照射後はわずか30µC/cm2(図4)でウェハ上においてパターンの形成が始まっているのが確認できる。幅200nmのパターンの形成については必要な露光量がUVC照射の結果220µC/cm2(図3)から100µC/cm2(図5)に低下し感度の向上が確認できた。 照射量を増加し2.5mJ/cm2照射すると未露光部分のレジストが硬化し現像時間を増加させても現像できずパターン形成ができなかった。

結果と考察 / Results and Discussion

ネガ型レジストma-N2504の加速電圧100kV電子ビーム露光について露光特性改善のためUVCを電子ビーム露光後に現像した結果、露光感度が向上を確認した。また,UVC照射量の増加とともにγ値が低下した。レジストの膜厚200nm、ライン幅200nmのパターン形成においてUVCを2 mJ/cm2照射した後現像したところ必要な露光量が220µC/cm2から100 µC/cm2に低下し感度特性が改善した。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


 図1 UVC照射による感度特性の変化



表1 UVC照射による感度,γ値の変化



図2  露光量130µC/cm2(UVC : 0mJ/cm2)で露光したパターンのSEM像



図3  露光量220µC/cm2(UVC : 0mJ/cm2)で露光したパターンのSEM像



図4  露光量30µC/cm2(UVC : 2mJ/cm2)で露光したパターンのSEM像



図5  露光量100µC/cm2(UVC : 2mJ/cm2)で露光したパターンのSEM像


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究は,本研究はJSPS科研費(課題番号JP24H02555)の助成を受けました。 
本研究の一部は,文部科学省マテリアル先端リサーチインフラ事業 (課題番号:JPMXP 1224IT0062)の支援を受けて、(東京科学大学ナノ構造造形支援)において実施されました。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 田村茂雄,宮本恭幸,“UVC照射によるネガ型電子ビームレジストの感度特性の改善”,第72回応用物理学会春季学術講演会(千葉),14a-P02-5,令和7年3月14日
  2. 田村茂雄,“ネガ型レジストのUVC照射による電子ビーム露光感度特性の改善”,総合技術研究会2025筑波大学(茨城),P-03-03,令和7年3月6日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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