【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.05.16】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24AE0014
利用課題名 / Title
アクチナイド耐腐食用グラフェン保護膜に向けた要素技術開発: 標準試料の選定II
利用した実施機関 / Support Institute
日本原子力研究開発機構 / JAEA
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
アクチノイド,放射光,X線光電子分光法,グラフェン,耐腐食材料,保護膜
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
山口 尚登
所属名 / Affiliation
米国ロスアラモス国立研究所
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ノーラン レギス
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
藤森 伸一, 川崎 郁斗
利用形態 / Support Type
(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
ウランやプルトニウムといったアクチナイドは原子力発電で燃料として利用されているが、化学反応性が高く、腐食が激しい。そのため、製造後、長期間の保管や輸送過程で腐食を最小限にとどめることが発電の安全性/コスト面で課題となっている。解決の一案として保護膜でのコーティングが考えられるが、従来の保護膜だと厚過ぎてアクチナイド本来の機能に影響が出てしまうという懸念があった。本研究では、1原子層にも関わらず高いガスバリア性を有し、金属表面等の耐腐食材料として期待されているグラフェンを、アクチナイド用の保護膜として使用するための要素技術を開発することを目的として、実験を開始した。
結果、標準試料の選定と試料温度に関する測定の条件出しを行うことができた。
実験 / Experimental
本実験の目的は、上記した最終目的を達成する準備段階として、前ビームタイムから継続して標準基板の選定をおこなうことであった。実験で取り扱うアクチナイドとして、必要な実験手続きの簡易性からウラン化合物と決めた。その中から我々の実験目的とビームタイムとの兼ね合いでどの物質が適しているのかを選定する必要がある。反応速度が速過ぎると、酸化過程のデータを詳細に収集することができない。反対に、反応速度が遅いと数日間のビームタイム中に十分な腐食が起こらない。今回我々はウランの白金化合物の評価をおこなった。白金化合物は前ビームタイムでの測定からある程度の速度で腐食が起こることが分かっており、かつ真空内で劈開できるため、洗浄表面を比較的容易に準備することが可能である。試料は、JAEA先端基礎研究センターの芳賀芳範氏が作製した。
実験は、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が所有するBL23SU 軟X線光電子分光装置で行った。
実験手順としては、まずビームの調整を行った後、実際の試料の測定を開始した。具体的には、試料を準備室で機械的に劈開して洗浄表面を出した後、試料を真空槽に導入した。次に放射光のエネルギーを800 eVにセットし、放射光を試料に照射しながらU 4fの測定を繰り返し行った。U 4f光電子スペクトルの時間発展から、ウラン化合物の酸化過程を観察した。
結果と考察 / Results and Discussion
ウランの白金化合物においては、100 K程度に試料を冷却することによって、ほとんど酸化が進行しないことが明らかとなった。一方で200 K程度まで昇温すると急激に酸化が進行するものの、その後は室温まで昇温しても完全には酸化せず、一定の酸化状態で反応が止まることが明らかとなった。今後、再実験を行い、試料温度と酸化速度の関連性の特定をする予定である。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
なし。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件