【公開日：2025.06.10】【最終更新日：2025.05.19】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24AE0010

利用課題名 / Title

オペランド X 線表面回折法による全固体電池界面構造の時間変化追跡

利用した実施機関 / Support Institute

日本原子力研究開発機構 / JAEA

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】（主 / Main）計測・分析/Advanced Characterization（副 / Sub）-

【重要技術領域 / Important Technology Area】（主 / Main）革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion（副 / Sub）-

キーワード / Keywords

全固体電池,エピタキシャル薄膜,固体/固体界面,X線回折/ X-ray diffraction,放射光/ Synchrotron radiation

利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名（課題申請者）/ User Name (Project Applicant)

平山 雅章

所属名 / Affiliation

東京工業大学 物質理工学院

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

LI　YANZHAO,山中　一輝,渡邊　健太

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

田村　和久

利用形態 / Support Type

（主 / Main）共同研究/Joint Research（副 / Sub）-

利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AE-005：カッパ型多軸回折計

報告書データ / Report

概要（目的・用途・実施内容）/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

全固体電池反応は固体固体界面で進行するが、既存液系蓄電池と同様の電気化学理論に基づく解釈にとどまり、本質は明らかでない。本研究では、申請者が独自に構築してきたエピタキシャル膜/硫化物電解質膜モデル界面を基に、放射光X線表面散乱から電極界面構造のその場観察を実施し、固固界面での電気化学現象解明を目標とする。

実験 / Experimental

2023B期にまでに硫化物電解質を用いた薄膜電池について、入射角を変えたin situ X線回折を実施し、正極結晶構造が表面と内部で異なることが観測された。本課題では、operand X線回折測定で実験から正極結晶構造変化を詳細に解析することを目的とした。LiCoO₂(104)エピタキシャル膜正極をSrRuO₃/SrTiO₃ (100)基板上に作製し、酸化物界面層(LiNbO₃, Li₃PO₄)、固体電解質Li₃PS₄、負極Liを積層することでモデル薄膜電池を得た。In-situ X線回折は、BL22XUに設置されたκ型多軸回折計およびNaIシンチレーションカウンター検出器を利用し、in-situ測定用真空対応セルを用いて測定した。X線エネルギーは15 keVとした。電池作製時、充放電時にout-of-plane 003, 104, およびin-plane 01-4, -210反射を測定し、電極構造の変化を調べた。

結果と考察 / Results and Discussion

LiCoO₂/LiNbO₃/Li₃PS₄/Li₃PO₄/Li薄膜電池について、電圧範囲3.0 V ~ 4.2 Vで充放電した際のLiCoO₂ 01-4反射の回折図形を全反射臨界角以下と以上で入射角を振りながら測定し、表面構造と内部構造変化を調べた。得られた回折図形をガウス関数でフィットし、ピーク積分強度とピーク幅を求めた。充電時にリチウム脱離するとともに表面01-4、内部01-4ともに積分強度は徐々に減少したものの、表面ではより大きく減少した。この表面は脱離するリチウム量もしくは脱離後の原子配列が異なることが示唆された。放電時において、表面01-4、内部01-4ともに可逆的な変化を示したものの、表面では積分強度変化のヒステリシスが内部より大きかった。以上より、充放電サイクル時に正極表面は内部とは異なる結晶構造変化を示すことを明らかにした。酸化物界面層をLiNbO₃からLi₃PO₄に変化させた正極界面においても、表面01-4反射は内部よりも大きな積分強度変化を示した。今後、表面構造と充放電速度・サイクル安定性との相関解明を進める。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations

その他・特記事項（参考文献・謝辞等） / Remarks(References and Acknowledgements)

・新学術領域研究(MEXT) 「機能コアの材料科学」
・GteX (JST) 「高エネルギー密度・高安全な硫化物型全固体電池の開発」

成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング（DOIのあるもの） / DOI (Publication and Proceedings)

口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.

1. 李 炎釗, 渡邊 健太, 清水 啓佑, 鈴木 耕太, 菅野 了次, 平山 雅章, "薄膜電池を用いた酸化物正極/硫化物固体電解質モデル界面の電気化学特性", 粉体粉末冶金協会2024年度春季大会, 令和6年5月22日．

特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications：0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents：0件