利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.05.19】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24AE0005

利用課題名 / Title

マイクロビームXAFSによる福島第一原子力発電所から発生する廃棄物のコンポジット固化体に固定化された元素の電子状態解析

利用した実施機関 / Support Institute

日本原子力研究開発機構 / JAEA

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

マイクロビーム,XAFS,XRF,福島第一原子力発電所,燃料デブリ,固化体,処分


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

中瀬 正彦

所属名 / Affiliation

東京工業大学 科学技術創成研究院

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

牧涼介, Ikhwan Fauzia,桜木 智史,田中真悟,丸山恵史,小澤沙記, 西條佳孝,渡邊真太

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

小林 徹,谷田 肇,下条 晃司郎

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AE-003:高輝度放射光XAFSシステム


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

福島第一原子力発電所(1F)から多様な廃棄物が発生した。例えばALPSプロセスで高濃度放射核種を含む汚染水は処理され、最後に残るトリチウムは十分希釈され海洋放出が可能となった。次に二次廃棄物を含む多くの固体廃棄物の処理・処分が必要となる。我々が提案する「ハイブリッド固化体」は、多様な廃棄物を既に原子力の廃棄物処分の安全評価で利用されているジルカロイやステンレス鋼(SUS)で粉末冶金的手法により固化したもので、2022B、2023A期ではマイクロビームXAFSにより金属マトリクスと、その中に単分散させた廃棄物との界面での金属間化合物形成や元素分布との相関を明らかにし、多くの廃棄物特にとりSUSの適合性が高いことが分かった。KBミラーで集光した高輝度放射光を用いることで、効果的に固化元素の電子状態を明らかにできることが確かめられた。2024Aでは、ハイブリッド固化体とは別の概念の「コンポジット固化体」マイクロビームXAFSを実施した。これは、ハイブリッド固化体のように各廃棄物を安定なマトリクス中に単分散させるのではなく、結晶構造に固溶させた、より強固な固化体と我々は定義している。コンポジット固化体として、我々はシンロック(SYNROC)に注目している。多様な元素がそれぞれに安定な結晶相中に固溶された、自然界で見られるような多相系の状態で安定となる。頑強な固化体が作れる性質から、Anも含有する1F廃棄物(特に燃料デブリ)の廃棄体として有望であると考えた。シンロックはかつて高レベル廃液の技術選定がなされた際は、ガラスよりもシンロックの方が廃棄体としての物性は優れるが、合成に高温が必要という課題があった。しかし、スパークプラズマ焼成(SPS)を適用すると、シンロック固化体が一軸圧縮と交流電流の印加により、迅速かつ焼成温度を低下させることが可能で、50 MPa、100 ℃/分で昇温し、保持時間5分程度で焼成可能であることを明らかにした。合成物の詳細な性状把握のため、固化体内の模擬廃棄物の状態や均一性といった観点の評価が必要であり、顕微的手法の中でも電子状態が分かるマイクロビームXAFSが適している。

実験 / Experimental

SPring-8 BL22XUにおいて、高輝度放射光をKBミラーで集光したマイクロビームによりXRFマッピング図を取得し、そこから特徴的な部位を選定し、XAFS測定を行った。固化体試料については、酸化物系模擬燃料デブリ(CeO2、SUS、Zrの溶融・焼結体)、金属系のデブリをシンロックの一種であるムラタイトにSPSで固化した試料等について測定を行った。これら試料の顕微鏡による組織観察、微構造解析、特に電子状態(価数など)の解明を目的とした。CeのL3吸収端、ZrのK吸収端を用いて、蛍光法によるXAFS測定を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

今回、Uの模擬物質であるCeを用い模擬燃料デブリ、並びにこれをSPSによりシンロック固化した試料について、顕微鏡によるテクスチャー観察と、特徴的な部位における元素の電子状態を良好に観察することができた。今後、更に系統的に作成したデブリを固化したシンロックを合成してマイクロビームによる観察を行うと共に、これまでに得られているマイクロビームを用いたXRFの元素マッピングデータの画像補正も行い、論文用にデータ整理と考察の充実を行う。また、いずれは取得した点測定データと画像の特徴量を生かした簡易的な電子状態マップに調整したい。また、浸出試験やα、β、γ線照射試料のTEM分析なども進める。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

SPS装置を用いたU(ウラン)含有シンロック合成を作成する拠点における許認可申請が間に合わなかったため、次期マシンタイムにて実施できるよう調整する。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. M. Nakase, R. Maki, S. Maruyama, T. Sakuragi, S. Tanaka, M. Harigai, H. Asano, T. Kobayashi, H. Kikunaga. Development in development of decommissioning technology in TEPCO collaborative research cluster for decontamination and decommissioning frontier technology creation (8) development of rapid solidification technology for 1F waste using advanced sintering methods, FDR2024, October 10-13, 2024. J-Village, Naraha, Fukushima, Japan
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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