【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.05.08】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24NU0220
利用課題名 / Title
シリサイド超薄膜の形成と物性評価
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋大学 / Nagoya Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
X線光電子分光(XPS(硬X線を含む))/ X-ray photoelectron spectroscopy,X線回折/ X-ray diffraction,電子線リソグラフィ/ EB lithography,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control,電子顕微鏡/ Electronic microscope,電子分光/ Electron spectroscopy,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
田岡 紀之
所属名 / Affiliation
愛知工業大学工学部電気学科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
牧原
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
中塚 理
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NU-266:全自動X線回折装置
NU-207:X線光電子分光装置
NU-228:走査型電子顕微鏡
NU-224:電子ビーム蒸着装置
NU-206:電子線露光装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
NiおよびFeシリサイドの形成技術を確立し、電気伝導特性を評価する。具体的には、SiとNiあるいはFeを極薄SiO2上にEB堆積し、短時間熱処理を施すことでシリサイド薄膜形成を目指す。試料作成の各過程で、表面平坦性や膜厚、結晶性などの化学構造を評価するとともに、特に、優れた構造を示す試料は電子状態を調べる。
実験 / Experimental
SOI基板(Si:~82 nm、SiO2:~145 nm)の熱酸化とHFによるエッチングを繰り返し行うことで、Si層を~4.5nmまで薄層化した後、厚さ~1.2 nmのNi膜を電子線蒸着した。尚、Ni膜厚は、Ni原子数とSi原子数の比が1:2になるように設計した。その後、RTAにより窒素雰囲気中で400 ℃および600℃ で1分間の熱処理を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
AFM表面形状像から算出したNi堆積後におけるRMSラフネスは、薄層化したSOI表面と同程度であり、極めて平坦な膜形成が確認できた。また、400℃熱処理後においてもRMSに顕著な差は認められないが、600℃熱処理では僅かに表面ラフネスが増加するものの、Ni原子の表面マイグレーション・凝集は認められなかった。化学結合状態をXPSにより調べた結果、熱処理前においてNi-O信号が殆ど認められず、Si-O信号が認められることから、Ni蒸着直後に下地Siと反応し、Siが最表面に析出していると考えられる。また、熱処理後ではSi-SiまたはSi-NiおよびNi-Niのピークシフトが認められ、僅かにブロードニングしていることが分かった。ニッケルシリサイドではSiリッチ相の形成に伴い、Ni3d軌道とSi3p軌道の混成が形成されることに起因してNi-Si間の強い共有結合が生じるため高エネルギー側にシフトすることが知られていることから、熱処理によりシリサイド化が進行していることを示唆している。また、Ni2p信号を波形分離した結果、Niリッチ相とSiリッチ相の二成分で分離でき、600℃熱処理ではSiリッチ相の形成が顕著であることが分かった。しかしながら、表面敏感測定を行った結果、400℃熱処理では膜厚方向に対して均一なNiリッチ相が形成できているものの、600℃熱処理ではSiの自然酸化に起因して膜厚方向に対して不均一な組成になっていることが分かった。そこで、酸化犠牲層としてのSiキャップ層(~0.3 nm)形成を形成し、同様に600℃熱処理を行った結果、Siキャップ層による表面ラフネスに顕著な変化は認められず、大幅にNiリッチ相の形成が抑制され、Siリッチ相の形成が促進されることが分かった。これは、Siキャップ層を形成することで下層Siの表面拡散による酸化が抑制された結果で説明できる。また、ラマン散乱スペクトルにおいて、キャップ層を導入することで、明瞭なNiSi2相の信号が認められた。さらには、EBSD測定を用いて結晶方位を評価した結果、単結晶NiSi2が支配的に形成されていることが分かった。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件