利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.03.12】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24UE5368

利用課題名 / Title

共焦点顕微鏡システムによるゼブラフィッシュ網膜における視覚関連機能性タンパク質の局在解析

利用した実施機関 / Support Institute

電気通信大学 / UEC

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials

キーワード / Keywords

光学顕微鏡/ Optical microscope,バイオセンサ/ Biosensor


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

橘木 修志

所属名 / Affiliation

東京慈恵会医科大学 自然科学教室生物学研究室

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

齊藤恭助

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

北田 昇雄,白川 英樹,仲村 厚志,元橋 八重

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UE-009:共焦点蛍光顕微鏡システム


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

目的 視覚に関わることが期待される網膜局在タンパク質が同定されたことから、その分布が視覚機能に関わる細胞に分布するか確認する。実験内容 脊椎動物の網膜には錐体と桿体の二種類の視細胞が存在している。この2種類の細胞は,はたらく光環境で適切に光情報を受容するために,光に対する感度や応答の長さなどが異なっていることは古くからよく知られている。しかしその一方,どのようなメカニズムのちがいにより2種類の細胞の応答の仕方が異なるのかについては未だに完全な理解がなされていない。 我々は,どちらかの細胞にしか存在しないタンパク質が応答の違いを生み出す一因となっているのではないかという仮説をたて,その探求を行ってきた。その結果,neurocalcinδBや外節円盤膜周辺部タンパク質など,いくつかの候補を得ることができた。これらの結果は,単離したコイ桿体,錐体のプロテオミクス的解析によって得られたものであり,その局在はさらに免疫組織学的な検討によってその局在を確認する必要がある。そこで,今回,貴施設の共焦点蛍光顕微鏡システム(LSM710)を用いることにより、コイ科ゼブラフィッシュの網膜においてこれら候補タンパク質がどのような局在をしているのかを免疫組織染色法で検討することを計画した。

実験 / Experimental

研究概要 ゼブラフィッシュ網膜での視覚機能に関わるタンパク質の局在を、共焦点顕微鏡システムを用いて免疫組織染色法で観察する。目的 視覚に関わることが期待される網膜局在タンパク質が同定されたことから、その分布が視覚機能に関わる細胞に分布するか確認する。実験内容 脊椎動物の網膜には錐体と桿体の二種類の視細胞が存在している。この2種類の細胞は,はたらく光環境で適切に光情報を受容するために,光に対する感度や応答の長さなどが異なっていることは古くからよく知られている。しかしその一方,どのようなメカニズムのちがいにより2種類の細胞の応答の仕方が異なるのかについては未だに完全な理解がなされていない。 我々は,どちらかの細胞にしか存在しないタンパク質が応答の違いを生み出す一因となっているのではないかという仮説をたて,その探求を行ってきた。その結果,neurocalcinδBや外節円盤膜周辺部タンパク質など,いくつかの候補を得ることができた。これらの結果は,単離したコイ桿体,錐体のプロテオミクス的解析によって得られたものであり,その局在はさらに免疫組織学的な検討によってその局在を確認する必要がある。そこで,今回,貴施設の共焦点蛍光顕微鏡システム(LSM710)を用いることにより、コイ科ゼブラフィッシュの網膜においてこれら候補タンパク質がどのような局在をしているのかを免疫組織染色法で検討することを計画した。

結果と考察 / Results and Discussion

neurocalcinδBの分布の観察 ゼブラフィッシュを明順応、暗順応状態にしたあと、それぞれの眼球を摘出した。 ふたつの順応状態の眼球を用意したのは、それぞれの状態の眼球において網膜内の細胞、とくに光受容細胞である桿体と錐体の分布が変わること、さらに、網膜内での機能性タンパク質の分布が変わることが一般に知られているためである。 つぎに、それぞれの眼球の凍結切片内でのneurocalcinδBの局在を調べるため、一次抗体として抗ヒトneurocalcinδマウス抗体を、二次抗体としてAlexa488ラベル抗マウスIgGウサギ抗体を使ってそれぞれの眼球の凍結切片(10μm厚)を免疫染色した。その後、網膜内のneurocalicinδB抗体の局在を、共焦点蛍光顕微鏡システム(LSM710)をつかって抗体に付加されているAlexa488由来の蛍光シグナルを測定することによって観察した。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

 観察の結果、neurocalcinδBは網膜細胞のなかでも視細胞および限られた二次ニューロンに局在することが分かった。それらの細胞の内、錐体視細胞に特に強いシグナルが観察されたことから、明るいところでの視覚をつかさどる錐体視細胞でなんらかの働きをしていることが示唆された。 さらに、ゼブラフィッシュにおいては、波長感受性の異なる4種類の錐体があることが知られているが、それらのなかでも長波長の光を吸収する錐体に特に強く局在すること、明順応と暗順応のときでは錐体のなかでの局在が変わることを示唆する結果が得られた。 これらの結果は、neurocalcinδBが明るいところでの長波長の光受容に重要な役割をすることを強く示唆するものであり、今後、今回の結果をさらに確認していくとともに生理学実験をおこなうことによりその未知の機能を明らかに明らかに出来ると考えている。今後、視覚を支える新規の分子メカニズムを明らかに出来るかもしれない。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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