【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.05.17】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24NU0085
利用課題名 / Title
火炎法を用いたAl2O3微粒子製造における成長過程の解明
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋大学 / Nagoya Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
結晶成長,火炎法,微小球結晶,イオンミリング/ Ion milling,環境発電/ Energy Harvesting
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
宇佐美 徳隆
所属名 / Affiliation
名古屋大学大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
工学研究科 物質プロセス工学専攻・学生 池田翔太郎
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
樋口 公孝,山本 裕太
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
Al2O3微粒子は熱伝導フィラーとして広く実用化されており、その熱伝導率を上昇させることで放熱効率の向上が可能になる。熱伝導を妨げる結晶粒界や空洞を減らすことで熱伝導率が向上すると考えられるが、そのような結晶球作製プロセスは確立されていない。そのため、簡便な装置で大量製造が可能な火炎法に着目し、結晶球ができるメカニズムを制御することで、高熱伝導率の結晶球作製条件の確立に取り組んだ。しかし、火炎法におけるメカニズムは未解明な点が多く、作製条件がメカニズムに及ぼす影響に関する知見も少なかった。そこで本研究では原料溶融状態や凝固メカニズム解明に向けた知見獲得を目指した。
実験 / Experimental
焼結体の多結晶Al2O3粉末を原料としてサンプルを作製した。次に、シリコンボートに可視光硬化性包埋樹脂D-800とサンプルを入れ、光照射器LUXSPOTⅡで可視光線を1時間ほど照射して硬化させた。そして、断面試料作製装置IB-09020CPを用いた断面出しを行い、オスミウムコーターNeoc-STBを使った導電性コーティングを行った。その後、走査型電子顕微鏡JSM-7001FAで観察し、EBSD法で結晶球断面の結晶方位分布を取得した。得られた結晶方位分布を用いて、結晶粒間の方位差と距離から結晶粒間関係を判定し、これらの関係を粒界ネットワークグラフにより可視化した。
結果と考察 / Results and Discussion
作製した結晶球の結晶方位分布と粒界ネットワークグラフをFig. 1に示す。粒界ネットワークグラフはノード(点)とエッジ(線)で構成されており、ノードは結晶粒の重心、エッジは結晶粒界の種類を示している。また、近接するノードが、エッジで結ばれず孤立している場合は、結晶粒間にランダム粒界がある。粒界ネットワークグラフは、Fig. 1 (b, d)に示すように連結性が高いものとほとんど連結していないものが存在した。連結性が高いグラフは対応粒界と小角粒界が多い。これらは結晶成長過程や凝固完了後に発生していると推定でき、連結したノード同士は共通の結晶核から成長した結晶粒であると考えられる。結晶成長した領域が大きいことから、原料が完全溶融してできたと推定できる。一方で、ほとんど連結していないケースはランダム粒界が多い。そこで、無用器法における結晶成長プロセスではランダム粒界が多数形成する可能性は稀であることや、結晶粒径が原料である焼結体と比較して大きいことを考えると、このケースは部分的にしか溶融していなかったと推定される。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1. 完全溶融後に凝固したと考えられる結晶球(a, b)と部分溶融後に凝固したと考えられる結晶球(c, d)の結晶方位分布 (a, c)と粒界ネットワークグラフ(b, d)
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
【謝辞】本研究は、JST CREST (JP MJCR17J1)の支援のもと行われた。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件