【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.05.13】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24UT0114
利用課題名 / Title
電池材料のX線回折/散乱
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
X線回折/ X-ray diffraction,電極材料/ Electrode material,二次電池/ Secondary battery
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
西村 真一
所属名 / Affiliation
東京大学大学院工学系研究科 化学システム工学専攻
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
Seonjae KO
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
飯盛桂子,府川和弘
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
電力の効率的な運用を実現するために、化学エネルギーとしてエネルギー貯蔵を可能とする二次電池が重要な役割を果たしている。二次電池に求められる性能は多角的であり、用途の拡大に伴ってその要求も日々高度化している。電池を構成する正極・電解質・負極、これらの全てが電池性能を決定する上で重要な材料であり、それぞれについて性能を最適化、高度化するとともに、これらを組み合わせたときに発現する反応についての統一的かつ階層的な理解が、総合的な性能向上においては必須である。本課題においては、主として電解質溶液の評価を目的として、種々の電解質溶液のX線散乱(SmartLab 9kW)により、その溶液構造の特徴を抽出し、その物性との相関について調査することを目的とした。
実験 / Experimental
リチウムビスフルオロスルフォニルイミド(LiFSI)を電解質塩とし、種々の溶媒を単体、あるいは所定比で混合した溶媒へと溶解し試料溶液を調製した。試料溶液を外径を0.5あるいは1.0 mmのほうけい酸ガラスキャピラリに封入し、測定試料とした。
結果と考察 / Results and Discussion
密度が均質な液体であれば分子スケールを超える領域における構造因子はほぼゼロになるはずである。しかしながら、電解質塩を高濃度に溶解させた溶液は、小角散乱領域に有意な強度を持つことが多い。この起源の詳細については必ずしも明らかになってはいないが、高塩濃度溶液においては電解質濃度が不均一であり、空間的に揺らぎを持っていると解釈される。これは電解質塩が溶解された状態にありながらも主として凝集状態にあるという微視的な観測結果と紐づけられ、電解質溶液に求められる電気伝導性とも強い相関を持つ構造の特徴である。この凝集構造に関連したX線散乱強度は溶媒種にも大きく依存し、その幾何学的サイズや化学的・物理的性質とも相関している事を示唆する結果が得られた。小角散乱とほぼ同様に広角X線散乱についても評価したところ、高塩濃度においては分子内原子相関に加えて、分子内の相関が強くなる傾向が見られ、特にX線散乱能も大きな陰イオン間の相関が強く観測された。この液体内の局所構造を反映した構造情報においても、上記のイオン凝集構造と対応する結果が得られたと考えることもできるが、この領域の構造も溶媒種に依存して変化する様子が確認された。この結果は、イオンが凝集している状態においてもその中に溶媒分子が取り込まれ、その構造に顕著な影響を与えていることを示すものであると考えられる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件