利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.04.14】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24AT5021

利用課題名 / Title

固体高分解能NMRによる無機層状化合物の測定法

利用した実施機関 / Support Institute

産業技術総合研究所 / AIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

核磁気共鳴/ Nuclear magnetic resonance,スピン制御/ Spin control,核磁気共鳴/ Nuclear magnetic resonance


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

町田 慎悟

所属名 / Affiliation

一般財団法人ファインセラミックスセンター

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

服部峰之,大沼恵美子

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AT-505:固体NMR装置 (SSNMR)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

多くの無機層状化合物およびその層間化合物・有機誘導体を作製するために必要な反応中間体である、層状化合物のメトキシ誘導体について、その基本的な分析および層とメトキシ基の相互作用の評価のために固体NMR測定法を検討する。

実験 / Experimental

実験目的の達成に向けて、他の層状化合物と比較して測定かつ議論できる核種類が多いことから、その最も基礎となるカオリナイトのメトキシ誘導体のスペクトルを測定した。カオリナイトはその組成(Al2Si2O5(OH)4)から、1H, 27Al MAS NMRスペクトルで特徴的なシグナルを示す。今回は、磁場600MHzにおいて、どのような1H, 27Al MAS NMRスペクトルが得られるか調査した。また、メトキシ基およびカオリナイト層との相互作用について、29Siおよび13C CP/MAS NMRスペクトルを取得した。

結果と考察 / Results and Discussion

Fig. 1の1H MAS NMRスペクトルでは、カオリナイトの層内のOH基のシグナル(2 ppm)に加えて、カオリナイトの層間のOH基のシグナル(4 ppm)に帰属されるシグナルが観測された。また、メトキシ基に帰属されるシグナル(3.7 ppm)も観測された。カオリナイトがメトキシ化によりその層を拡大させると、層間のOH基がメトキシ化により減少し、層間の水素結合が弱まるため、4 ppm付近のシグナル形状も変化する。この点については今後に詳細に波形分離をして追求し、既存(Langmuir, 2018, 34, 12694.)の400 MHzで測定したシグナルからの優位性を比較する。Fig. 2の27Al MAS NMRスペクトルでは、6配位のAlに帰属されるシグナルが5ppmに明瞭に観測された。このスペクトルは従来のカオリナイトのスペクトルと変わらなかったため、メトキシ修飾化はカオリナイトのAlの骨格構造には大きな影響を与えないことが示された。Fig.3の29 Si CP MAS NMRスペクトルでは、元々のカオリナイトのQ3ダブレット(-90.3, -90.7 ppm)に加えて、-92 ppmに比較的鋭いシグナル、その高磁場位にショルダーが観測された。カオリナイト層のシリケートシートのトリゴナルホールにゲスト種が固定化されると、Si-O-Siの角度が広がり、シグナルが高磁場位にシフトすることが知られている。しかし、今回得られたスペクトルは磁場400 MHzで得られた既報(Langmuir, 2018, 34, 12694; Appl. Clay Sci., 1999, 15, 142.)と比べるを極めて明瞭にスペクトルが分離されているため、シングルパルスで得られたスペクトルの詳細な波形分離やHETECOLスペクトルが今後の検討項目になると思われる。Fig.4の 13C CP MAS NMRスペクトルではスピニングサイドバンドを伴う明瞭なシグナルが51 ppmに観測された。このシグナルはメトキシ基によるシグナルに帰属される。以上のことから、メトキシ修飾カオリナイトの評価を正しく検討することができた。また、スペクトルが磁場400 MHzで得られた既往研究よりも明瞭であるため、これまでに検討されたメトキシ基とシリケート層の相互作用(Langmuir, 2000, 16, 5506.)よりもさらに詳細な検討が可能である将来性が見出された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig.1 修飾カオリナイトの1H MAS NMRスペクトル



Fig.2 修飾カオリナイトの27Al NMRスペクトル



Fig.3 修飾カオリナイトの29Si CP/MAS NMRスペクトル



Fig.4 修飾カオリナイトの13C CP/MAS NMRスペクトル


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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