【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.05.17】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24NU0003
利用課題名 / Title
水素吸蔵合金を用いたメタン化反応のin-situ TEM・質量分析測定
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋大学 / Nagoya Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials
キーワード / Keywords
電子顕微鏡/ Electronic microscope,クロマトグラフ/ Chromatograph,電子回折/ Electron diffraction,質量分析/ Mass spectrometry,クロマトグラフィ/ Chromatography, 質量分析/ Mass spectrometry,水素貯蔵/ Hydrogen storage,エネルギー貯蔵/ Energy storage,ナノ粒子/ Nanoparticles
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
中川 鉄水
所属名 / Affiliation
琉球大学理学部
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
武藤俊介,樋口哲夫,唐龍樹
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
荒井重勇
利用形態 / Support Type
(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
水素吸蔵合金をCO2・H2混合ガス中で加熱すると、COやCH4などを生成するが、現状は低反応率であるため、性能向上に向けて反応メカニズム解明を目指している。われわれはこれまでCO2によって合金表面が酸化され、CO2転化反応後では水素により還元されることを明らかにしている。本研究では、同反応中に合金表面をTEM観察しつつ放出ガスを分析することで、反応メカニズムを微視的観点から解明することを目的としている。昨年度はZrCr2を用いてCO2転化反応を捉えることを試み、TEM中においてH2-CO2混合ガス雰囲気で加熱するとGC-MSでメタンの質量数15を検出したが、その後のベースライン測定でも質量数15を検出したため、証拠不十分であった。今年度はより低圧で多量の水素吸蔵を行うZrMnVを用いてCO2転化反応をTEM中で進行させ、GC-MSを用いてCOや炭化水素を捉えることを目的とした。
実験 / Experimental
In-situ TEMは反応科学超高圧走査透過電子顕微鏡(JEM1000K RS 日本電子)を用い、表面観察・電子回折測定・EELS測定を行った。CO2転化反応時にはGC-MS(JEM1500GC 日本電子)によるガス分析を同時に行い、m/z = 2(H2)、12(COのフラグメント)、14(N)、15(CH3+)、16(CH4, O)18(H2O)、28(N2, CO)、32(O2)、44(CO2)を観測した。 エタノールを用いて粉砕したZrMnV(アーク溶解で合成後、900 ℃・12時間アニール。実測の組成はZrMn1.1V0.9)を窒化シリコン膜ウィンドウ(基板)に乗せ、加熱ステージを用いてTEMへ導入した。TEM内では試料活性化(真空中で400 ℃・1時間保持)を行い、室温まで降温した後に1時間程度 Ne-H2-CO2混合ガス(混合比75:20:5)1 kPa気流中で保持し、MSのベースライン安定後に400 ℃まで一気に昇温し、そのままMSを観測した。活性化前後、加熱中、反応後の各点においてTEM像、電子回折像、EELS測定により表面状態の分析を行った。なお、同様の操作を基板のみ(試料を乗せない状態)で行い、MSおよびGC-MSで確認し、基板が触媒となってメタン等を発生しないことや、カラムなどの残留ガスが残っていないことを確認している。
結果と考察 / Results and Discussion
合金での実験の前にBlank測定を行った。75Ne-20H2-5CO2混合ガスを基板に1 kPaに保ちながら通気し、400 ℃まで昇温しながらMS測定を行った。その結果、水のシグナルである質量数18、17は加熱開始から徐々に上昇しているが、質量数15は上昇しなかった(図(a))。この結果は、水とメタンを同時放出されても区別が可能であることを意味している。一方、ZrMnVを用いて同様の操作を行ったところ、質量数18、17とは同期しない形で質量数15の強度が増大した(図(b))。これはメタンである可能性が非常に高く、本実験によりTEM中で水素吸蔵合金を用いたCO2転化反応を進行させ、それを捉えることに成功した。この結果は前例が無く、世界初と言える。しかしながら反応中の表面状態を捉えることができなかったため、今後も引き続き調査を行う予定である。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図.TEM中で行ったZrMnVによるCO2転化反応の質量分析プロファイル (上:ブランク、下:ZrMnV)
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件