【公開日：2025.06.10】【最終更新日：2025.04.03】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24KT0014

利用課題名 / Title

核融合炉材料中の水素・ヘリウム滞留挙動のEELS分析

利用した実施機関 / Support Institute

京都大学 / Kyoto Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】（主 / Main）計測・分析/Advanced Characterization（副 / Sub）-

【重要技術領域 / Important Technology Area】（主 / Main）革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion（副 / Sub）-

キーワード / Keywords

核融合炉材料,電子顕微鏡/ Electronic microscope

利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名（課題申請者）/ User Name (Project Applicant)

宮本 光貴

所属名 / Affiliation

島根大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

宮本光貴,大久保慎高

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

治田充貴

利用形態 / Support Type

（主 / Main）技術代行/Technology Substitution（副 / Sub）-

利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KT-403：モノクロメータ搭載低加速原子分解能分析電子顕微鏡

報告書データ / Report

概要（目的・用途・実施内容）/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

タングステンは将来の核融合炉ダイバータ材料としての利用が予定されている．本研究では，タングステン中のヘリウムバブルが水素保持に及ぼす影響について，モノクロメータ搭載低加速原子分解能分析電子顕微鏡(STEM-EELS, 京都大学)を用いて直接捉えることを目的とした．

実験 / Experimental

島根大学のイオン銃直結型透過型電子顕微鏡を用いて薄膜化したタングステン試料に比較的大きなヘリウムバブル(d ~ 10 nm)を導入するために，室温で3 keV-He⁺を照射後，1473 Kでアニールした．その後，室温で3 keV-D₂⁺を1×10²¹ /m²まで照射した試料をSTEM-EELSにより，重水素，およびヘリウムの存在位置を高い空間分解能で定量的に評価した．

結果と考察 / Results and Discussion

図１に同一視野における（a）HAADF像と（b）試料の厚さ分布，および，（c）重水素，（d）ヘリウムの密度マッピングを示す．試料の厚さは，エネルギーを失うことなく各試料位置を透過してきた透過電子・弾性散乱電子によるゼロロスピークの積分強度から求めることができる．図からわかるようにバブル内に重水素とヘリウムが明確に局在している．図２にはHAADF像中に示した線上の（a） 膜厚，（b）重水素，および（c）ヘリウム濃度の分布を示している．バブルがほぼ球状であり，重水素とヘリウムが，バブル中に一様に分布していることが分かる．タングステン中のヘリウムバブルが水素保持量増加の要因であることはこれまで多く指摘されていた[1,2]が，STEM-EELSの利用により，その直接的な証拠を得ることができた．

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations

図1　バブルが形成したタングステンの(a)HAADF像と同じ領域から得られた(b)試料の厚さ分布，および，(c)重水素と(d)ヘリウムの密度マッピング．

図2　タングステン中のバブルの直径方向で測定した (a) 試料膜厚と (b) 重水素，および (c) ヘリウム濃度のラインプロファイル．

その他・特記事項（参考文献・謝辞等） / Remarks(References and Acknowledgements)

[1] H. Iwakiri, et al., J. Nucl. Mater., 135, 307 (2002). [2] Y. Sakoi, et al., J. Nucl. Mater., 442, S715 (2013).

成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング（DOIのあるもの） / DOI (Publication and Proceedings)

口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.

1. 大久保慎高,　長樂訓平,　治田充貴,　宮本光貴，”高機能電子顕微鏡によるタングステン中のバブル内ガス挙動評価”，第41回 プラズマ・核融合学会年会（東京），2024.11/17(日)-11/20(水)

特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications：0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents：0件