【公開日：2025.06.10】【最終更新日：2025.04.16】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24NM5317
利用課題名 / Title
低放射化ハイエントロピー合金の開発
利用した実施機関 / Support Institute
物質・材料研究機構 / NIMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用（ARIM事業参画者以外）/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】（主 / Main）計測・分析/Advanced Characterization（副 / Sub）-
【重要技術領域 / Important Technology Area】（主 / Main）マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies（副 / Sub）-
キーワード / Keywords
X線回折/ X-ray diffraction,電子顕微鏡/ Electronic microscope
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名（課題申請者）/ User Name (Project Applicant)
古谷 一幸
所属名 / Affiliation
物質・材料研究機構
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
高野美和子
利用形態 / Support Type
（主 / Main）技術代行/Technology Substitution（副 / Sub）,機器利用/Equipment Utilization
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NM-226：ショットキー電界放出型走査電子顕微鏡（JSM-7001F）
NM-204：多目的X線回折装置_Cu_SSL
報告書データ / Report
概要（目的・用途・実施内容）/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
Ｊ－ＰＡＲＣニュートリノ施設における大強度陽子ビーム加速器のビーム窓（約１５０ｍｍφの円盤状）の材料は、現在Ｔｉ－６Ａｌ－４Ｖ合金（６－４合金）であるが、照射損傷による材料特性の劣化（特に脆化）が懸念されている。そのため、ハイパーカミオカンデでのニュートリノ観測に向けた陽子ビームのハイパワー化を達成するためには、６－４合金に代わる材料の適用が急務である。本研究では、発表者らの先行研究より優れた耐照射損傷性能等が期待される、Ｔｉ－１５Ｖ－３Ｃｒ－３Ｓｎ－３Ａｌ合金（Ｔｉ－１５－３合金）を、次期ビーム窓の候補材料の一つとして位置付け、Ｔｉ－１５－３合金の熱間鍛造特性を明らかにし、ビーム窓の製造技術開発に繋げることを目的に、Ｔｉ－１５－３合金の高温圧縮変形挙動と組織等との関係を調査した。
実験 / Experimental
原料の一つであるチタンは、予め浮揚溶解装置で溶解してブロック形状とした。原料の溶解は、５ｋｇ高周波真空誘導溶解設備鍛圧用加熱炉（ＶＩＭ）で、多孔質イットリアセラミックス製の坩堝（ＴＥＰ（株）製）を用いて行った。その後、鋳塊をアルゴン雰囲気にて７９０℃（β相領域）で１５分間の溶体化処理（ＳＴ）を施し、空冷した。ＳＴまま材より直径８ｍｍ、高さ１２ｍｍの円筒状試料を複数個採取し、表面研磨を施して、熱間加工再現試験装置による高温圧縮試験に供した。試験温度は７９０℃、試験雰囲気は１０－２Ｐａ程度の真空とし、歪み速度1Ｅ－3／ｓ～１／ｓ、圧下率２５％～７５％で、それぞれ圧縮試験を行った。また、高温圧縮試験前後のビッカース硬さ試験（押し込み荷重１ｋｇｆ）、組織のＯＭ観察、ＳＥＭ観察、ＥＤＸ分析、ＥＢＳＤ分析などを行い、力学的性質と組織との関係を調べた。更に、Ｔｉ－１５－３合金の製造条件の違いが高温圧縮変形挙動に与える影響を調べるため、Ｔｉ－１５－３合金の中間材（（株）コベルコ）に溶体化熱処理を施し、類似の条件で高温圧縮試験を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
試験温度７９０℃での高温圧縮試験の結果、歪み速度の増加に従い、降伏応力と最大応力は共に増加した。強さは圧下率に大きく依存しなかった。試験後の試験片表面の目視観察の結果、注目すべきクラックは認められなかった。本研究成果に基づき、熱間鍛造条件の最適化を行い、結晶粒の微細化などで機械的特性を向上させることにより、実機ビーム窓の製造に大きな見通しを得られることが期待される。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項（参考文献・謝辞等） / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング（DOIのあるもの） / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 古谷一幸, 若井栄一, 石田卓, 本橋功会, 檜原高明, 上野豪, 富樫千穗, 土谷浩一, ”Ti-15-3合金を用いた耐照射性大強度陽子加速器ビーム窓の開発(II)”, 日本金属学会2024年秋の大会, 2024年9月
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications：0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents：0件