【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.04.05】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24NM0168
利用課題名 / Title
TOF-SIMSを用いたフィルムの定性分析
利用した実施機関 / Support Institute
物質・材料研究機構 / NIMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
フィルム,高強度・生分解性プラスチック/ High-strength, biodegradable plastic
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
大西 雅之
所属名 / Affiliation
三井・ダウポリケミカル株式会社
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
2次イオン質量分析法(SIMS)は、試料表面に1次イオンを照射し、スパッタされて表面から放出された2次イオンの質量分析を行うことにより表面についての情報を得る手法である。SIMSの中でも1次イオンの照射量をできるだけ抑え、表面の化学構造を破壊することなくイオン化する手法をスタティックSIMSという。その中で飛行時間型質量分析計(TOF)と組み合わせたTOF-SIMSは、高感度に表面の化学情報を得られる手法である。我々は、これまで多くのフィルムを作製してきた。フィルムでは、層の定性、添加剤のブリードアウト、剥離不良などの課題があった。今回の検討では、我々の課題に対してTOF-SIMSの特徴を活かせないか検討する。今回の課題では、基礎データを取得する。
実験 / Experimental
ポリマーの基礎データについてはポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)などフィルムに使用するポリマーデータを取得した。次にフィルムの定性については市販品フィルムを用いた。フィルムはミクロトームを用いて切片を作製し、カーボンテープに貼り付けて測定した。 測定にはTOF-SIMSはアルバックファイ社製のPHI TRIFT Ⅴ nanoTOFを用いた。測定条件は以下に示す通りでDose量等は測定ごとに調整した。ビーム:Bi3++ポラリティ:Negative イオン範囲: m/z 0 ~ 10000
結果と考察 / Results and Discussion
図1にポリエチレンのマススペクトル、図2にエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)のマススペクトルを示す。EVAではm/z 59に酢酸由来の特徴的なスペクトルが得られた。それぞれに特徴的なマススペクトルが得られることから定性は可能であると考えられる。次に、実試料であるフィルムのマッピング結果を図3に示す。先ほどの結果から各層について定性可能であったが薄層では剥離してIRや顕微ラマン分光法の方が優位である結果であった。一方で、図4に示すように微量な添加剤については高感度に定性することができかつマッピングデータも取得することができた。そのため、添加剤由来の不良やブリードアウトには本法が有用である可能性を確認できた。また今回、剥離不良についてDepthプロファイルを取得して解析を検討したがスペクトルが小さくデータを上手く取得できなかったため再度検討を予定している。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 PEのマススペクトル
図2 EVAのマススペクトル
図3 マッピング
図4 Irganox1010
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件