【公開日：2025.06.10】【最終更新日：2025.05.23】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24NM0135
利用課題名 / Title
固体NMRによる次世代二次電池の内部解析
利用した実施機関 / Support Institute
物質・材料研究機構 / NIMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】（主 / Main）計測・分析/Advanced Characterization（副 / Sub）-
【重要技術領域 / Important Technology Area】（主 / Main）高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed（副 / Sub）革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion
キーワード / Keywords
固体NMR,アルカリ金属,ハードカーボン,核磁気共鳴/ Nuclear magnetic resonance,二次電池/ Secondary battery
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名（課題申請者）/ User Name (Project Applicant)
後藤 和馬
所属名 / Affiliation
北陸先端科学技術大学院大学 ナノマテリアルテクノロジーセンター
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
大木忍,端健二郎
利用形態 / Support Type
（主 / Main）機器利用/Equipment Utilization（副 / Sub）-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NM-101：500MHz固体汎用NMRシステム
NM-102：500MHz固体高分解能NMRシステム
NM-103：800MHzナローボア固体高分解能NMRシステム
報告書データ / Report
概要（目的・用途・実施内容）/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
エネルギーデバイスとして二次電池の需要はますます高まっており、電池の研究開発における電極内の化学的環境把握が極めて重要となっている。これまで利用者（後藤）およびNIMS固体NMRグループは、共同でリチウムイオン電池やナトリウムイオン電池についてのLi, Na NMRによる解析研究、新規電池（カリウムイオン電池等）の解析に貢献するNMR技術発展等を推進し、オペランドNMR計測手法の開発や過充電時の内部金属析出メカニズムの解明など、多くの成果を得てきている。今年度はK NMRによるカリウム黒鉛層間化合物中のカリウムの観測を行い、NIMSとの共著で論文出版した。本研究成果は今後のカリウムイオン電池研究において負極炭素中のカリウムの状態分析に大きく貢献する。またナトリウム吸蔵ハードカーボンについても共著論文を出版し、リン導入ハードカーボン中でのNaクラスター生成挙動をNMRで明らかにした。さらに関連二次電池のNMR観測に関して成果を挙げ、近日中に特許申請予定である。本研究により全固体電池や非リチウム系の次世代二次電池分析手法の開発において顕著な成果を挙げることができた。
実験 / Experimental
K NMRによるカリウム黒鉛層間化合物中のカリウムの観測を行った。ステージの異なる複数のカリウム黒鉛層間化合物を合成し、NIMSのNMR装置（800 MHz）で39K NMR測定を行った。これまで分解物による信号が混入するなどの理由により実現できていなかったK GIC内のK信号を検出した。また、リン導入ハードカーボンを利用者の研究室で合成し、電気化学的にNaを挿入した試料について23Na，31P MAS NMRを測定した。
結果と考察 / Results and Discussion
これまで分解物による信号が混入するなどの理由により実現できていなかった1st stage, 2nd stageのK GIC内のK信号を検出し、帰属することに成功した。リン導入ハードカーボン中にNaを挿入した試料において、Naクラスターに帰属できる擬金属Naの信号をNMRで検出した。また31Ｐ NMRにより、Na挿入試料において31P信号の化学シフトが大きく変化することを観測し、炭素表面のリンがNa吸蔵において大きな役割を果たしていることを明らかにした。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
39K NMR spectrum of K-GIC (KC8). (reproduced from the reference 1)
その他・特記事項（参考文献・謝辞等） / Remarks(References and Acknowledgements)
1) Strategic approaches to observing 39K NMR signals from potassium–graphite intercalation compounds, H. Ando, K. Hashi, S. Ohki, R. Matsumoto, K. Gotoh, Chem. Lett., 53, 195(1-3)(2024).
2) State change of Na clusters in hard
carbon electrodes and increased capacity for Na-ion batteries achieved by
heteroatom doping
H. Ando, K. Hashi, S. Ohki, Y.
Hatakeyama, Y. Nishina, N. Kowata, T. Ohkubo, K. Gotoh, Carbon Trends, 16, 100387(1-9) (2024).
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング（DOIのあるもの） / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications：0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents：0件