【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.04.04】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24KT2123
利用課題名 / Title
地盤改良した土粒子の物理化学特性評価
利用した実施機関 / Support Institute
京都大学 / Kyoto Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
形状・形態観察,分析,建設リサイクル,建設発生土,自然由来重金属等,鉄鋼スラグ,鉱物組成,X線回折/ X-ray diffraction
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
加藤 智大
所属名 / Affiliation
京都大学 大学院地球環境学堂
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
高橋英樹
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub),機器利用/Equipment Utilization
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
資源の循環利用を推進し,社会基盤整備方針の転換を図りながら都市・地域の活性を持続させることが,持続可能な発展をしつつ国土の強靭化と社会基盤整備を進める上で重要である。そのような中で,トンネルなどの掘削工事から生じる土を社会基盤整備に利用した場合の環境安全性評価が求められている。公定法の溶出試験は常温で実施される一方,掘削土の適用先として想定される盛土などの浅層地盤では地盤温度に変動が生じやすいため,現場の条件に近い溶出特性評価に向けて,温度の違いに着目する必要がある。そこで本研究では,実際のトンネル掘削工事から土を採取して鉱物組成を評価し,掘削土に対し40, 20℃の条件でカラム式の溶出試験を行った。
実験 / Experimental
掘削土を全量2mm以下になるように破砕して試験に用いた。X線回折装置(KT-310)によるX線回折(XRD,リガク,SmartLab-9K)によって主要鉱物を分析したところ,図-1に示すように,凝灰岩と泥岩試料は石英や長石を含んでおり,凝灰岩では方解石,泥岩では黄鉄鉱のピークも確認された。その後,凝灰岩と泥岩について40℃と20℃の条件でカラム試験を行った。JIS A 1231を参考にして,内径5cm,高さ30cmの円筒カラムに試料を5層に分けて充填し125gのランマーを高さ20cmから3回落下させて各層を締め固めた。供試体作製後,定量ポンプを用いて蒸留水を約12mL/hの流量で上向きに通水した。上端から流出液が得られた時点でポンプを48時間停止して静置した後,通水を再開して溶出試験を開始した。試験は20℃の恒温室で行い,40℃条件はラバーヒーターをカラムと給水ボトルに巻きつけて温度条件を制御した。40℃条件では試験開始の約48時間前からカラムの加温を始め,通水液の蒸留水は事前に恒温槽で40℃に温めた。試験中は流出液のボトルを定期的に交換して採水した。流出液は孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過をして検液とし,電極でpHと電気伝導率を測定した。また,原子吸光光度計(島津製作所,AA-7000)でヒ素(As)濃度を,ICP発光分光分析(島津製作所,ICPE-9800)でホウ素(B),カルシウム(Ca),鉄(Fe)などのイオン濃度を測定した。
結果と考察 / Results and Discussion
図-2に,凝灰岩のカラム試験結果を示す。Asの溶出濃度のプロファイルに着目すると,累積液固比L/Sが2~3にかけてAsの溶出濃度は増加して最大値を示した。40℃と20℃の違いに着目すると,最大の溶出濃度は0.36, 0.042mg/Lと9倍程度異なっており,温度の違いによる影響が確認された。最大の溶出濃度となるL/Sは40℃と20℃でL/S 2.8, 4.1 L/kgであり,40℃の方が20℃よりもピークを迎えるL/Sが小さいことから,温度が高いと溶出反応速度が早まる可能性が示唆された。pHは40℃, 20℃ともにpH 7から8程度の中性域であったが,40℃のpHの方が少し大きかった。XRDで方解石(CaCO3)のピークが確認されたことから,高温ほどCaCO3が溶解してpHがアルカリ側の値になった可能性がある。今後は化学計算を行って精査する必要がある。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図-1 トンネル掘削工事で生じた5種類の建設発生土のX線回折結果
図-2 人工海水に90日浸漬させた後の供試体の陽イオンの溶出濃度
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 加藤 智大,髙井 敦史,Xie Yuexin,宮口新治,勝見 武(2024):カラム試験の温度条件が自然由来重金属等の溶出特性に及ぼす影響,第59回地盤工学研究発表会,論文番号DS-2-02,旭川市
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件