利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.02.27】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24AT0234

利用課題名 / Title

相変化材料の構造分析

利用した実施機関 / Support Institute

産業技術総合研究所 / AIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

X線回折/ X-ray diffraction,光導波路/ Optical waveguide,フォトニクスデバイス/ Nanophotonics device,光デバイス/ Optical Device,光通信、超低消費電力型光スイッチ


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

桑原 正史

所属名 / Affiliation

産業技術総合研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

新井イサム,粟津原奨太

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

渋谷 直哉

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AT-070:X線回折装置(XRD)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

シリコンフォトニクスでは、光路切り替えスイッチ素子(光スイッチ素子)は必要不可欠である。基本的に導波路内の光の位相を制御することにより、切り替えを行うものである。位相制御においては、加熱や電場印加による屈折率変化を利用することが主となっている。また欠点としては、状態維持のために常にエネルギーを必要とする(揮発性)が挙げられる。我々は、この問題に対し、相変化材料を用いいることで、エネルギー消費なしに状態を維持(不揮発性)可能な光スイッチ素子の開発を行っている。これまでは、Ge2Sb2Te5(GST)を用いて開発を行なってきたが、光吸収が大きいため、光強度が低下することが欠点であった。そこで、光吸収の小さなMnTeという材料に着目し、まずは成膜制御確立に向け実験を進めた。

実験 / Experimental

MnTeは、RFマグネトロンスパッタ法で作成した。アズデポでは、β相となり、加熱によりα相となる材料で、β⇔α相は加熱により可逆的とされている。スパッタリングのターゲットは、MnTeの1:1組成であるが、そこにMnのチップ2枚を付加し、組成の調整を行なった。β相からα相に結晶転移する際に、20%以上もの体積収縮が伴う。そのため、β相を加熱してα相を得ると、膜中の空隙が存在する不均一な膜となる。今後の展開上、α相の均一な膜が必要なため、スパッタ成膜中にヒーターによって基板を加熱する成膜方法を採用した。膜の厚さは、結晶構造解析でXRDを用いる際は、100nmとした。XRDでは、2θ/θスキャン、2θスキャン(微小角入射XRD)の2種類を用いて測定を行った。MnTeは配向性が高い傾向があるため、2種類の測定方法を選んだ。基板は酸化膜付きシリコン基板である。

結果と考察 / Results and Discussion

基板温度を変化させた時のMnTeのXRD結果を図に載せる。β相では24°に、α相では28°近辺に回折ピークが観測されることがわかる。なお、α相では、26°近辺にもピークが観測されることがあるが、常に観測されるわけではない。MnTeが成膜条件などによって配向が大きく依存していることが原因と考えられる。図からわかるように、基板温度が500℃で成膜しても、α相のみのピークは観測されず、β相のピークがどの温度においても観測されていることがわかる。500℃でβ相が残存している報告はこれまでにないため、基板温度の正確性、成膜中の組成ずれなどが原因ではないかと考えているが、未だ原因特定はできていない。なお、一年前には、この方法でα相を得られているため、当時の成膜条件から何かのパラメーターが変わったと思われる。MnTeは、成膜条件によっては、アモルファスMnTeやMnTe2が生成されることが知られているため、こちらの可能性に関しても調査中である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図 加熱しながら成膜したMnTeの回折パターン結果。左:2θ/θスキャン、右:θスキャン どちらの方法においても、β相ピークが観測されている。


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究は、一部JSPS科研費 24K00949の助成を受けたものです。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Tomoya Yazaki, Proposal of a phase-change optical switch using a low-loss MnTe thin film, 2024 IEEE Photonics Conference (IPC), , 1-2(2024).
    DOI: 10.1109/IPC60965.2024.10799707
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. "Fabrication of MnTe Crystal on Si surface at Different substrate Temperatures", Arai et all., Phase Change Oriented Science(PCOS), Nobember 2024, Sendai
  2. 「MnTeを用いたVO2の相転移温度制御」、新井 他、東洋大と東京電機大合同研究会
  3. "Proposal of a phase-change optical switch using a low-loss MnTe thin film", Yazaki et al., IEEE PHOTONICS CONFERENCE 2024, Italy
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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