利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.05.22】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24NU0076

利用課題名 / Title

直流電界フラッシュ法によるジルコニアセラミックスの窒化

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋大学 / Nagoya Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

大気中窒化されたジルコニア,電子顕微鏡/ Electronic microscope,電子回折/ Electron diffraction,ナノシート/ Nanosheet,原子層薄膜/ Atomic layer thin film,電子分光/ Electron spectroscopy


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

小林 清

所属名 / Affiliation

国立研究開発法人物質・材料研究機構

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

山本 剛久

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術代行/Technology Substitution


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NU-102:高分解能電子状態計測走査透過型電子顕微鏡システム


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

閾値以上の電界を印加しながら酸化物を昇温すると、印加した電界で決定される温度において酸化物に投入される電力値が急峻に増加する現象が現れる。この現象はフラッシュ現象と呼称され、これまでに酸化物の緻密化を短時間化させる現象として用いられてきた。ところが、直流電界を用いてフラッシュ現象を誘起させると、適切な条件下においては酸化物が大気中においても窒化されることが見出されている。この大気中窒化現象は、直流電界で誘起される強還元状態と密接に関係する。この課題では、モデル材料としてジルコニアに注目し、大気中において直流電界を用いたフラッシュ処理を行った。その窒化過程における初期の組織形成について、主に透過型電子顕微鏡を用いて解析を行った。

実験 / Experimental

8mol%Y2O3が添加されたZrO2粉末を直方体形状に圧粉成型した。この圧粉体の端面にPt電極を取り付け、電界を印加できるように改造を行った電気炉を用いて、直流電界フラッシュ処理を行った。フラッシュ処理によって、焼結体内部に酸窒化物特有の金色の組織が形成された。この組織から、TEM試料片を作製し、微細構造を観察した。観察には、冷陰極FE銃が搭載された走査透過型電子顕微鏡を使用した。

結果と考察 / Results and Discussion

酸窒化物の形成には、印加する直流電界に閾値が存在することが確認された。その閾値以上の電界条件下では、金色に発色する酸窒化物が形成した。この形成量は、フラッシュ現象時の制限電流値が増加するにつれて、増加することが見出された。酸窒化物形成初期の組織を確認するために、窒化が生じている箇所と窒化が生じていない箇所との境界における微細組織を調べたところ、図1に示すような酸窒化物の核生成組織を観察することができた。図1(a)は、母相である立方晶ジルコニア中に形成したジルコニア酸窒化物のHAADF-STEM像を示している。図1(a)に認められるように、酸窒化物の核はNaCl構造を有していること、また、母相となるジルコニア結晶に対して格子整合しており、互いの{001}が平行となるように形成されていることが確認された。この格子整合性は、図1(b)に示した制限視野回折図形においても確認される。これらの結果から得られた母相に対する核の構造は、蛍石型構造であるジルコニア結晶とNaCl型である酸窒化物の陰イオン置換で核生成が生じることを示唆している。今後、異なる酸化物についても検討を行っていく予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 直流電界を用いたフラッシュ処理によって立方晶ジルコニア結晶中に形成したジルコニア酸窒化物, (a) HAADF-STEM 像および(b) 電子線回折図形


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

該当なし


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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