利用報告書 / User's Reports

  • 印刷する

【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.04.15】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24NU0038

利用課題名 / Title

セラミック材料の微細構造解析

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋大学 / Nagoya Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

セラミック(主に、ジルコニア)の組織制御と新物質の合成など,ナノ粒子/ Nanoparticles,電子顕微鏡/ Electronic microscope,電子回折/ Electron diffraction,原子層薄膜/ Atomic layer thin film,集束イオンビーム/ Focused ion beam


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

山本 剛久

所属名 / Affiliation

名古屋大学 大学院工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

徳永 智春

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

山本 剛久

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),機器利用/Equipment Utilization


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NU-102:高分解能電子状態計測走査透過型電子顕微鏡システム
NU-104:直交型高速加工観察分析装置
NU-106:試料作製装置群


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

多くのセラミック材料は、応力下のもとで生じるクラック進展による脆性破壊が生じて破壊する。この脆性的な破壊は、セラミックの使用寿命をしばしば制限してしてしまう。セラミック材料の表面に生じた微細な亀裂を回復させることができれば、セラミック材料の使用寿命を延ばすことができる。本課題では、構造用セラミック材料として広範に用いられているジルコニアセラミックスをモデル材料として、その表面に人為的に発生させた微細亀裂を、ultra-high temperature sintering (UHS)法を用いて極短時間で修復した試料の表面組織、内部組織の解析を行った。

実験 / Experimental

4mol%Y2O3を添加したZrO2多結晶体を用いた。この多結晶体表面に、ビッカース試験機を用いてクラックを形成した。ビッカース圧痕の大きさは約20µmであり、その圧痕の角の部分から発生した亀裂長は約15µmである。この試料をUHS処理し、処理前後の亀裂組織について調べた。表面構造の観察には直交型高速加工観察分析装置(NU-104)、内部組織の観察には高分解能電子状態計測走査透過型電子顕微鏡システム(NU-102)を使用した。

結果と考察 / Results and Discussion

亀裂修復に用いたUHS装置は、試料温度を2000℃まで約6秒という短時間で到達することができる。亀裂修復処理は、1600℃~2000℃において、5~20秒の条件で行った。その結果、上述した微細亀裂は、2000℃、20秒というごく短時間で修復されることが見出された。図1に、UHS処理前のビッカース圧痕及びビッカース亀裂を示す。ビッカース圧痕は表面から内部へ向けて四角垂状に形成しており、その角から亀裂が発生していることが確認できる。この亀裂は、亀裂先端部に向かって亀裂幅が減少し、その先端箇所から内部に向かって半円状に形成されていると推察される。図2は、2000℃、20sのUHS処理を行った後の亀裂表面箇所のSEM像を示している。図1で認められた亀裂が、このUHS処理条件で完全に回復されていることが確認される(図1下段のSEM像)。この亀裂修復は、亀裂内表面の接触、および、その接触点からのネック成長で生じることも、FIB加工を用いた連続断面観察から明らかとなった。今後、セラミック材料の亀裂修復技術を構築させていく予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 ビッカース圧痕、微細亀裂およびUHS処理後の微細亀裂箇所のSEM像


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

該当なし


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Toshiki Sato, Healing behavior of microcracks on the surface of yttria-stabilized polycrystals using an ultrafast high-temperature sintering method, Ceramics International, 51, 4178-4184(2025).
    DOI: Doi.org/10.1016/j.ceramint.2024.11.394
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

印刷する
PAGE TOP
スマートフォン用ページで見る