【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.05.28】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24UT1125
利用課題名 / Title
有機材料を用いたハイブリットボンディング用プロセス開発
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
CMP,高品質プロセス材料/技術/ High quality process materials/technique,スパッタリング/ Sputtering,リソグラフィ/ Lithography,ハイブリッドボンディング/ Hybrid Bonding、触針式段差計、めっき,高品質プロセス材料/技術/ High quality process materials/technique,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,膜加工・エッチング/ Film processing/etching
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
壽慶 将也
所属名 / Affiliation
東京大学工学系研究科/東レ株式会社
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
野村康大
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
三田吉郎,水島彩子,豊倉敦
利用形態 / Support Type
(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
UT-707:銅メッキ装置
UT-850:形状・膜厚・電気特性評価装置群
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
近年、高性能パッケージング技術の代表的手法の一つとして半導体チップを縦積みする3次元積層(3DIC)が挙げられる。その中でも特に重要な技術がチップ間のシリコンおよび金属配線の接合技術である。また昨今では半導体チップ自体の高性能化のため、チップ内の金属配線密度が求められており、微細な配線幅も合わせて要求される。そのため現在はマイクロバンプと呼ばれる25-100μm程度の微小なはんだバンプでチップ間を接続する方法が最も一般的な方法とされているが、マイクロバンプによるはんだ接合は、より高性能な配線ピッチの短い半導体チップへの適用には困難となっている。 そこで25μm以下のより配線ピッチの短いチップの接合については、ウエハとチップの表面に形成した金属配線同士を直接接合させるハイブリッドボンディング(HB)と呼ばれる技術が提唱されており、特に一つのパッケージで異種チップを接合させるチップレット構造と組み合わせたChip to Wafer(C2W)-HBが次世代高密度実装技術として注目されている。これまでHBの絶縁材料としてはSiO2等の無機材料が検討されてきたが、C2W-HBにおいては、主に2つの課題があるとされている。1つはチップ化のダイシング時に生じるシリコンダストをHB時に噛み込んでしまい、ボイドが生じること、もう1つはSiO2の接合に必要な熱処理が350℃程度と高温であるためパッケージへのダメージが大きいことであり、洗浄工程や表面改質方法の探索がなされている。我々は上記の課題解決手法として、絶縁材への樹脂ポリマーの適用を目指しており、今回は特に感光性樹脂のHB技術への適用可能性を検討するべく、その中でもCMP工程に関する実験検証を行った。
実験 / Experimental
はじめに4インチシリコンウエハ上に東レ製の感光性樹脂材料をコーティング・パターニング露光・現像した後に熱硬化させて、パターニングされた樹脂硬化膜付ウエハを作製した。さらにその上にスパッタリング装置によりTi層およびCu層を形成させた後に、銅電解めっき処理を実施し、CMP加工用サンプルを作製した。作製した基板の表面のめっき銅に対して、武田CR装置のCMPを用いて研磨加工を実施した。具体的には外観観察において表面のめっき銅が除去されるまでCMP加工を実施し、その後FE-SEM-EDSでの元素分析によって表面のめっき銅が除去されているか、また最初に感光性樹脂によってパターニングされた箇所にめっき銅が埋め込まれているかを確認した。
結果と考察 / Results and Discussion
はじめにCMP加工前の電解銅めっき処理を施したサンプルの外観写真を図1に、同条件で作製したサンプルの断面SEM像を図2に示す。図2によりパターニングされたスペース部分が電解めっき銅で埋められていることが確認された。先のサンプルを銅研磨用スラリーにて4psi/4minの条件でCMP加工したところ、図3に示すようなサンプル外観となった。サンプルの中心部の銅が優先的に研磨されている中で、図2で確認した電解めっき銅での埋め込み部分は研磨され切らずに残っていることが確認できる。また埋め込みパターン部分以外においては、樹脂が露出している部分とスパッタリングによって製膜したTiまたはCuが残存している部分が見られた。そのためさらに同スラリーで2psi/2minの条件で追加のCMP加工を実施したところ、図4に示すようなサンプル外観となった。外周部1cm程度は電解めっき銅が残ったままであるが、その内側においては銅埋め込み部とそれ以外の樹脂部の露出が確認できたため、次に東レ社内のFE-SEM-EDSにて同サンプル表面の元素分析を行った。樹脂の主成分であるC、スパッタリングにて製膜したTi、電解めっき処理にて埋め込んだCuについて取得した元素マッピングを図5に示す。樹脂を示すC原子のマッピングがCuと正反対の分布となっており、狙い通り樹脂上のCuをCMPで除去できていることが確認された。また円状となっているCuの輪郭を覆うようにTiが分布していることから、表面のTiはCMPにて除去されている一方で、埋め込まれたCu壁面と樹脂の間にはTiがバリア層として保持されていることを確認した。ただしSEM像からはCu中心部が端部と比較して粗くなっていることからCMP加工が不十分であるか、銅電解めっき処理が不十分となっていることが示唆されており、今後更なる検証が必要である。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 CMP加工前のサンプル外観
図2 CMP加工前のサンプル断面SEM像
図3 1回目のCMP加工後のサンプル外観
図4 追加CMP加工後のサンプル外観
図5 CMP加工後のFE-SEM-EDS評価結果 (左上:SEM像、右上:C元素マップ、左下:Ti元素マップ、右下:Cu元素マップ)
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
関連課題番号:23UT1098, 22UT1031
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件