【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.04.03】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24UT1024
利用課題名 / Title
高熱伝導率無機層間絶縁材料・プロセスの開発
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
高品質プロセス材料/技術/ High quality process materials/technique,スパッタリング/ Sputtering,光リソグラフィ/ Photolithgraphy,膜加工・エッチング/ Film processing/etching
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
二宮 健生
所属名 / Affiliation
先端システム技術研究組合
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
杉山翔,長千恵,吉田悟志
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
UT-505:レーザー直接描画装置 DWL66+2018
UT-600:汎用ICPエッチング装置
UT-603:汎用高品位ICPエッチング装置
UT-704:高密度汎用スパッタリング装置
UT-711:LL式高密度汎用スパッタリング装置 (2018)
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
半導体の3次元化に伴う電力密度と熱抵抗の増加に伴い、デバイス・チップ・パッケー ジそれぞれのレベルで放熱特性の向上が望まれている。本研究ではシリコン酸化膜よりも熱伝導率の高い無機材料の、層間絶縁膜応用に向けた研究開発を行っている。本年度は無機材料として窒化アルミニウム(AlN)を検討し、AlNを層間絶縁膜としてCu配線を埋め込むことが可能か検証を行った。
実験 / Experimental
AlNにトレンチ加工を行うためのハードマスクとしてのSiO2をSIH-450により製膜した。続いてSiO2上にレジストを塗布し、DWL66+を用いてトレンチのパターニングを行った。ハードマスクをCE-300Iを用いて形成した後、NE-550によりAlN膜をエッチングした。AlN膜にトレンチを形成した後のSiO2の除去は、CE-300Iを用いてハードマスク加工と同じ条件により行った。
結果と考察 / Results and Discussion
図1はレジスト現像液(NMD-W)に2分間浸した後のAlNを斜め上から観察したSEM像である。アルカリ性である現像液にAlNは融解し、SEM像に見られるような円錐状に大きく削られていることが確認できる。このことはAlN膜の加工にフォトレジストを用いることが困難であることを意味する。したがって、AlN膜が直接現像液に触れないよう、本研究ではシリコン酸化膜(SiO2)をハードマスクとしてAlN中にトレンチを加工することとした。
図2は、ハードマスクとしてのSiO2をAlN膜上にRFスパッタ法により製膜し、SF6ガスを用いてSiO2をドライエッチングにより加工した後の断面観察結果である。オーバーエッチングを30%と十分に行ったが、AlN膜は削られておらず、AlNとSiO2の間に十分な選択比が得られることが確認できた。続いて、図3に示すSEM像は、AlNをCl2とBCl3の混合ガスを用いて400 nmドライエッチングにより加工した後の断面観察結果である。この条件において、SiO2のエッチングレート比はAlNの0.5であり、十分ハードマスクとして機能することが確認できた。また、AlNに大きな腐食なくトレンチを形成することに成功した。
以上に示すプロセスで、AlNに幅1µmのトレンチを形成することに成功した。また、AlNの加工は半導体プロセスで頻繁に用いられるガス系や材料を用いて行っており、AlN層間絶縁膜はプロセス親和性の高いものであると判断できる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1: 130nmの膜厚のAlN薄膜をレジスト現像液(NMD-W)に2分間浸したあとの形状を、斜め上からSEM観察した結果。AlN膜がアルカリ性の現像液により大きく削られていることがわかる。円錐状に残っているものはすべて現像液で削られた後のAlNである。
図2: SF6ガスによりハードマスクとしてのSiO2を加工した後の断面SEM像。ハードマスクが形成されているのと同時に、AlN膜はほとんど削れておらず、選択比が十分であることが確認できる。
図3: Cl2とBCl3の混合ガスによりAlN膜をエッチングした後の断面SEM像。AlNが腐食などなく加工され、ハードマスクのSiO2が残っていることが確認できる。ハードマスクの残り量が少ないことから、適正なSiO2膜厚については調整する必要がある。
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Takeki Ninomiya, Introduction of thick AlN coating on Si for 3D-IC thermal management, Japanese Journal of Applied Physics, , (2024).
DOI: 10.35848/1347-4065/ad94fa
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- Takeki Ninomiya, Takeshi Takagi, Masakazu Mori, Masaaki Niwa, and Tadahiro Kuroda, "AlN Gap-Fill Process by Aerosol Deposition Method for Application in 3D-IC Packaging," Proceeding of the 75th Electronic Components and Technology Conference
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件