【公開日：2025.05.14】【最終更新日：2025.05.13】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23QS0120

利用課題名 / Title

放射光全散乱測定による低結晶性P2-Na_2/3Mn_2/3Ni_1/3O₂のinsitu, ex situ PDF解析を用いた劣化機構解析

利用した実施機関 / Support Institute

量子科学技術研究開発機構 / QST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】（主 / Main）計測・分析/Advanced Characterization（副 / Sub）物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis

【重要技術領域 / Important Technology Area】（主 / Main）革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion（副 / Sub）-

キーワード / Keywords

局所構造,その場観察,電極材料/ Electrode material,X線回折/ X-ray diffraction,放射光/ Synchrotron radiation

利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名（課題申請者）/ User Name (Project Applicant)

片岡 理樹

所属名 / Affiliation

産業技術総合研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

中平 夕貴

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

町田 晃彦

利用形態 / Support Type

（主 / Main）共同研究/Joint Research（副 / Sub）-

利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

QS-222：高速2体分布関数計測装置

報告書データ / Report

概要（目的・用途・実施内容）/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

次世代二次電池用電極材料の充放電過程における局所構造の変化を、放射光全散乱測定を用いて明らかにすることを目的とする。Naイオン電池用の電極材料であるP2型の層状構造を有するNa_2/3(Mn_2/3Ni_1/3)O₂はメカニカルミリング処理により歪みを導入(低結晶性)すると充放電容量とサイクル寿命特性が向上することが見出されている。Na_2/3(Mn_2/3Ni_1/3)O₂は充放電に伴いNiの価数が変化し電荷補償することが知られているが、結晶性が低下するとNiの酸化還元の寄与が減少し新たに酸素イオンが酸化還元へ寄与し始めることがXASの結果から確認された。さらに2022A期に実施したin situ全散乱測定を用いて、結晶性の異なる2試料の充電過程の局所構造の変化を調べた結果、高結晶性材料では赤丸で囲んだ領域において層構造変化に起因するシグナルの変化が認められたが、低結晶性試料については、わずかなピークシフトは見られたもののシグナルの変化は確認されなかった。このことから、結晶性の低下により、充電過程で生じる構造変化を抑制し、これがサイクル安定性向上に寄与していると考えられる。しかしながら、市販されている電池材料と比較すると更なる耐久性の向上が必要であり、そのためにサイクル試験後の構造を解析し、劣化の要因を明らかにする必要がある。そこで、本申請においては、全散乱測定を用いたPDF解析によって通常のXRD測定では解析の難しい低結晶性試料の劣化機構を明らかにすることを目的とする。

実験 / Experimental

・測定エネルギーは70 keVで、サンプルと大型二次元検出機の間の距離は300 mmで行った。
・in situ測定では、試料はin situ測定用セルの内部にセットし、大気非曝露の状態で充放電しながら測定を行った。ビーム透過部は、測定部分である電極と大気の混入を防止するAl/PEフィルム以外の部材はφ5 mmの穴を開けておきバックグラウンドの上昇を抑えた。
・ex situ測定では、内径1 mm外径1.1 mmのポリイミド製キャピラリを使用した。
測定試料
・ex situ 測定用試料：Na_2/3(Mn_2/3Ni_1/3)O₂ (1サイクル後、10サイクル後、50サイクル後)の充電・放電状態の電極
・in situ  測定用試料：Na_2/3(Mn_2/3Ni_1/3)O₂

結果と考察 / Results and Discussion

in situ測定では、Na_2/3(Mn_2/3Ni_1/3)O₂試料を使い、自作したin situ測定用のセルを用いて、定電流充電試験をしながら測定を実施した。また、ex situ測定試料では、各サイクルごとの充電・放電状態の局所構造解析のため、測定後の試料をキャピラリに充填し測定を実施した。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations

その他・特記事項（参考文献・謝辞等） / Remarks(References and Acknowledgements)

成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング（DOIのあるもの） / DOI (Publication and Proceedings)

口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.

特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications：0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents：0件