利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2025.07.16】【最終更新日:2025.07.16】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22MS1048

利用課題名 / Title

新奇レーザーセラミックスの作製プロセスに関する学術基盤構築(II)

利用した実施機関 / Support Institute

自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

レーザーセラミックス, 結晶配向制御


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

平等 拓範

所属名 / Affiliation

理化学研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators Excluding Supporters in the Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Supporters in the Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

MS-210:オペランド多目的X線回析


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

分子科学研究においてレーザー装置は必須の研究装置であり、新規レーザー媒質の創成はレーザー装置性能に劇的な改善をもたらすと期待され、したがって分子科学研究活動全体を活性化させうると考えられる。本研究申請においては、新規レーザー媒質として『希土類添加無機誘電体を材料とする配向制御された透明多結晶体』および『希土類添加による光増幅機能を有する(通常では希土類添加が困難な)光学結晶』の実現を目指すものである。

実験 / Experimental

具体的には配向制御レーザーセラミックス素材として調整された原料粉末、前記原料粉末より得られた粉末成形体、前記成形体を焼成処理した焼結体を理化学研究所放射光科学研究センターおよび分子科学研究所社会連携研究部門において作成準備し、レーザーセラミックス合成における各プロセスにおける配向制御、異相生成抑制の状況を分子科学研究所機器センター保有のオペランド多目的X線回折装置(Panalytical Empyrean)もしくは粉末X線回折装置(Rigaku RINT-UltimaIII)により実施する。

結果と考察 / Results and Discussion

 まず『希土類添加による光増幅機能を有する(通常では希土類添加が困難な)光学結晶』として、サファイア中のAl3+イオンをNd3+イオンと置換した系につき検討を開始した。第一原理計算により0.2at.%程度であれば現状で安定置換が可能であろうと推定されるため、まずは0.2at.%のNd濃度となるようAl2O3粉末とNd2O3粉末を粉砕混合して成形体を得たのち、異相としてNd2O3がX線回折により検出できるかPanalytical Empyreanにより評価を行った。ここで得られたX線回折ピークはすべてAl2O3由来(あるいはNd2O3以外の不純物)由来のものであった。この結果、Nd3+イオンがAl3+イオンと安定に置換しているかどうかについては、XRD装置では判断できないことが明らかとなり、焼成後において分光解析及びSEM―EDSによる観察で行う必要があることが明らかとなった。但し、系の不純物を検出するという観点からはXRD評価は有効であることから、来年度以降もAl2O3-Nd2O3系材料のXRD観察は継続していきたい。 次いで『希土類添加無機誘電体を材料とする配向制御された透明多結晶体』について、軸性結晶であれば2階テンソル量である結晶磁気異方性を利用した磁場配向制御が利用できる。ホスト結晶として六方晶系のフッ化アパタイト、結晶磁気異方性増強剤としてYb3+イオン(アパタイト中のCa2+イオンと置換される)を対象として、粉末成形体を作成する際の磁場による結晶配向の制御性について、アパタイトスラリー濃度と解膠剤添加濃度との関係を調査した。この結果、アパタイト粉末に対して解膠剤添加濃度が1wt.%の場合が最も配向性が良く、0.4wt%の場合はそもそも配向制御不能であった。またスラリー濃度は25%程度が最も配向性が良かった。但し、ここでの配向制御はスラリーのブラウン運動を制御するマルコフ過程であり、定量性を確保するだけの試料数の評価は行っていない。プロセス設計に十分なデータを得るためには、引き続き同様の実験を行うことで、実験点数を増やしての議論が必要となる。 等軸性結晶においては、立方晶であるY3Al5O12について、Al2O3粉末とY2O3粉末の反応焼結力を応用した配向制御について実験的な検討を開始した。現状では、強還元雰囲気焼成による反応焼結の阻害によるYAlO3やY2Al4O9などの異相生成がXRD計測により確認された。ここから、焼成時の炉内雰囲気制御による異相抑制がY3Al5O12の配向制御について極めて重要であると結論される。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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