利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2025.07.07】【最終更新日:2025.07.06】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22KT1283

利用課題名 / Title

細胞スフェロイドの凍結保存

利用した実施機関 / Support Institute

京都大学 / Kyoto Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

共焦点レーザー顕微鏡,細胞凍結保存,細胞保存液


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

柳川 成章

所属名 / Affiliation

サラヤ株式会社

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KT-305:共焦点レーザー走査型顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

細胞凍結保存技術は生命科学の分野において広く使われている技術である。近年、再生医療等製品の社会実装が進み、細胞凍結保存技術はその保管や輸送に用いられている。しかし既存の細胞保存液はジメチルスルホキシド(DMSO)を組成とするものが多く、その細胞毒性が懸念されている。弊社ではこれまでにDMSOを含まない、低毒性の細胞保存液「SOFORO Cryo」を開発し、各種の細胞において良好な凍結融解後の細胞生存率を得ている。今後は再生医療用移植片などの凍結保存を可能とするため、3次元細胞構造物の凍結保存を目的とした。aMSC(脂肪由来間葉系幹細胞)のスフェロイド(細胞凝集塊)を作成し、凍結―融解後に切片化もしくはwholeスフェロイドで蛍光染色を行い共焦点レーザー顕微鏡で観察した。レーザー顕微鏡画像とimageJによる画像解析では凍結―融解を経たスフェロイドの内部は未凍結のスフェロイドと比較して同等に細胞が生存しており、その構造が保たれていた。この結果は細胞保存液がスフェロイド等の3次元細胞構造の凍結にも作用することを示唆している。

実験 / Experimental

【aMSCスフェロイドの作製】
aMSCを培養し0.05%トリプシン/EDTAで剥離して回収した。細胞懸濁液を5x105cells/mlに調整し、低吸着処理されたU底96ウェルプレートに1x105cells/wellになるよう播種した。播種から24時間後に倒立顕微鏡下で観察した。aMSCは自発的に凝集し、直径およそ900-1100μmのスフェロイドを形成している事を確認した。2日ごとにウェル培地の半量交換を行い、播種7日後に実験に使用した。
【スフェロイドの凍結保存と融解】
SOFORO Cryoの使用方法に従い、培地:SOFORO Cryo=1:1に調製し、凍結保存用液とした。スフェロイドを凍結バイアルに移し、上清を除去した後に保存溶液を加え、バイセルに入れて-80℃のフリーザー内に保管した。
-80℃フリーザーからバイセルを取り出し、凍結バイアルを37℃のウォーターバスで融解させた。MSC培地でスフェロイドを洗浄し、凍結保存液の除去を行った。
【凍結切片の作製と観察】4%ホルムアルデヒドで固定し、スクロース置換を経てOCTコンパウンド中に包埋して凍結ブロックを作成した。薄切してスフェロイド中心部の切片をDAPI(細胞核)とphalloidin(F-アクチン)の染色を行い、共焦点レーザー顕微鏡(Olympus FV-1000、KT-305)を用いてスフェロイド切片像を取得した。Wholeスフェロイド観察では4%ホルムアルデヒドによる固定後に0.1%PBT (TritonX/PBS)に浸漬した後に同様の染色を行った。スフェロイドの頂点から中心部に向けて5μmごとの連続Zスタックレーザー断面像を取得した。

結果と考察 / Results and Discussion

凍結―融解を経たスフェロイド切片像と未凍結のスフェロイド切片像を比較した。どちらの切片においてもスフェロイド内部にDAPIとphalloidinのシグナルが検出された(図1)。imageJを用いた画像解析では細胞生存率は同等であった。Wholeスフェロイドのレーザー断面像ではスフェロイド表面のシグナルは得られたが、内部のシグナルは得られなかった(data not shown)。スフェロイド内部に染色試薬が到達していない事が考えられる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 aMSCスフェロイド中心部 凍結切片


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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