【公開日：2025.06.18】【最終更新日：2025.06.17】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22NM0042
利用課題名 / Title
Al合金における時効現象のその場加熱STEM観察
利用した実施機関 / Support Institute
物質・材料研究機構 / NIMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】（主 / Main）計測・分析/Advanced Characterization（副 / Sub）-
【重要技術領域 / Important Technology Area】（主 / Main）マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies（副 / Sub）-
キーワード / Keywords
走査型透過電子顕微鏡, 低角円環状暗視野, in-situ加熱,電子顕微鏡/Electron microscopy,未利用資源の有効利用技術/ Technologies for effective utilization of unused resources
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名（課題申請者）/ User Name (Project Applicant)
木下 亮平
所属名 / Affiliation
東京大学大学院工学系研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
（主 / Main）機器利用/Equipment Utilization（副 / Sub）-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要（目的・用途・実施内容）/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
Al-Mg-Si合金(6xxx系合金)は実用的な時効硬化型合金であるが、焼入後の室温保持中に自然時効現象が進行することや、自然時効を経た材料はその後の200 ℃程度での人工時効中の硬化応答が悪化することが知られている。そこで自然時効中に形成すると考えられる溶質濃化組織を解析することが、時効硬化挙動の制御や材料設計のために重要である。低角円環状暗視野(Low-Angle Annular Dark-Field, LAADF)-走査型透過電子顕微鏡法(Scanning Transmission Electron Microscopy, STEM)及び3次元アトムプローブ法によって、焼入後の試料中に数nmの溶質濃化組織が形成していることが分かった。以下この組織は「クラウド」と呼称する。LAADF-STEMに歪コントラストで観察されるクラウドが、人工時効に相当する温度までの加熱中にどう変化するかを、in-situ加熱STEM観察を行った。
実験 / Experimental
MgとSiをそれぞれ< 1 at. %程度含有するAl-Mg-Si合金を溶体化焼入後、約1万時間の室温自然時効を施して試料とした。Gatan加熱ホルダを用いて昇温しながら、LAADF条件でSTEM観察を実施した。
結果と考察 / Results and Discussion
クラウドに起因する歪コントラストは、150 ℃程度まで昇温した際に消滅し、その後さらに昇温しても、またホルダ上で室温まで冷却しても、変化がなかった。従ってクラウドは人工時効の初期に溶解して母相中に溶質原子を解放するものと考えられた。なおこのin-situ時効によって、試料中には強化相が析出したことが認められたが、観察部位での析出は観察されなかった。これは薄膜効果のためと考えられる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項（参考文献・謝辞等） / Remarks(References and Acknowledgements)
・本研究は、JST 次世代研究者挑戦的研究プログラム JPMJSP2108 の支援を受けたものです。・本研究で用いた試料は(株)UACJよりご提供いただきました。 ・本研究は東京大学ARIMにおいても「Al合金の時効組織解析」(JPMXP122222UT0027 )として課題採択され、実験を実施しました。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング（DOIのあるもの） / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- KINOSHITA Ryouhei, EGUSA Daisuke, SASAKI Taisuke, HONO Kazuhiro, ABE Eiji “Solute clustering behaviors in Al-Mg-Si alloys based on complementary STEM / 3DAP analysis” ICAA18, Toyama, Japan, 2022/9/8
- 木下亮平、日吉憲祐、江草大佑、山口正剛、佐々木泰祐、宝野和博、阿部英司 「第一原理計算によるAl-Mg-Si合金におけるクラスタ構造の検討」 日本金属学会2022年秋期(第171回)講演大会、福岡、2022/9/23
- 木下亮平、日吉憲祐、江草大佑、山口正剛、佐々木泰祐、宝野和博、阿部英司 「Al-Mg-Si合金における溶質希薄なクラスタ構造の第一原理計算による検討」 軽金属学会第143回秋期大会、東京、2022/11/12
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications：0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents：0件