利用報告書 / User's Reports | ARIM Japan公式ホームページ

【公開日：2023.08.01】【最終更新日：2025.04.10】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22QS0105

利用課題名 / Title

超高圧下におけるケイ酸塩ガラス中の鉄の電子状態：地球深部メルトの安定性の解明

利用した実施機関 / Support Institute

量子科学技術研究開発機構 / QST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】（主 / Main）計測・分析/Advanced Characterization（副 / Sub）-

【重要技術領域 / Important Technology Area】（主 / Main）量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions（副 / Sub）その他/Others

キーワード / Keywords

スピン転移,高圧実験,電気伝導度,地球マントル物質,ケイ酸塩ガラス,ダイヤモンドアンビルセル,メスバウアー分光,放射光/Synchrotron radiation

利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名（課題申請者）/ User Name (Project Applicant)

増野いづみ

所属名 / Affiliation

岡山大学惑星物質研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

芳野極

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

三井隆也,藤原孝将

利用形態 / Support Type

（主 / Main）共同研究/Joint Research（副 / Sub）-

利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

QS-111：放射光メスバウアー分光装置

報告書データ / Report

概要（目的・用途・実施内容）/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

マントルの有力候補物質である鉄を含むシリケイトガラスおよびブリッジマナイトの超高圧その場メスバウアー分光および電気伝導度測定を行うことで、鉄のスピン状態や価数などの電子状態および電気伝導度の圧力依存性を観察し、それらの関係を調べる。地球のマントルを単純化した代表的な組成である（Mg_0.9,Fe_0.1）SiO₃エンスタタイト組成のガラスとブリッジマナイトを試料とすることで、鉄の影響を観察する。得られた結果から、先行研究で報告されている約80 GPaにおける鉄のsolid/melt間の分配係数の不連続的変化の原因として鉄の電子状態の変化で説明可能か明らかにすることで、地球深部進化を考察する。

実験 / Experimental

【利用した装置】：放射光メスバウアー分光
【実験方法】
試料であるエンスタタイト組成の鉄を含むシリケイトガラスおよびブリッジマナイト（MgSiO₃ with 7~10 wt% FeO）を超高圧発生装置ダイヤモンドアンビルセルに封入後、BL11XUにてメスバウアー分光測定を行った。常圧から約85 GPaの範囲での常温高圧その場メスバウアースペクトルを取得した。

結果と考察 / Results and Discussion

10 GPaから84 GPaの範囲で21の圧力点にてシリケイトガラスおよびブリッジマナイトの高圧その場メスバウアースペクトルを取得することができた。また出発試料および高圧回収試料の常圧メスバウアースペクトルも取得することができた。得られたスペクトルを解析したところ、シリケイトガラスのスペクトルに関してはFe^2＋とFe^3＋に由来する２つのダブレットに、ブリッジマナイトに関してはFe^2＋とFe^3＋に由来すると考えられる３～４のダブレットでFitできた。同試料に関して別途岡山大惑星研にて高圧その場電気伝導度測定を行い、電気伝導度の不連続が観察されるのか調べる予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations

その他・特記事項（参考文献・謝辞等） / Remarks(References and Acknowledgements)

・JSPS-科研費若手研究　「ケイ酸塩ガラスの超高圧その場弾性波速度測定から導く最下部マントルのメルトの安定性」
・JSPS-科研費基盤研究S　「川井型マルチアンビル装置による深部マントル研究の新展開」

成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング（DOIのあるもの） / DOI (Publication and Proceedings)

Izumi Mashino, Electrical conductivity of siderite and the effect of the spin transition of iron, Physics and Chemistry of Minerals, 51, (2024).
DOI: 10.1007/s00269-024-01283-8

口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.

増野いづみ, “Sound velocity measurement of iron-bearing enstatite glass under high pressure by inelastic X-ray scattering” 角度分解散乱分光研究会2022年度研究集会, 令和5年3月2日.
芳野極, 増野いづみ, 石井貴之、”含Al, Fe ブリッジマナイトの３価鉄のサイト分配”、第64回高圧討論会（柏）、令和5年11月3日
増野いづみ, 芳野極, 三井隆也, 藤原孝将, "高圧下におけるペリドタイトガラスの電気伝導度とスピン状態 ", 第65回高圧討論会（盛岡市）, 令和6年11月14日.
増野いづみ, "高圧下における下部マントル物質の電気伝導度と価数およびスピン状態との関係", 日本鉱物科学会2024年年会（名古屋市）, 令和6年9月12日, 招待講演.
Izumi Mashino, Takashi Yoshino, Takaya Mitsui, Kosuke Fujiwara, Máté Garai, Shigeru Yamashita, "Electrical conductivity of siderite and the effect of the spin transition of iron", Japan Geoscience Union Meeting 2024（千葉市）, 令和6年5月30日.

特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications：0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents：0件