利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.04.22】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24CT0071

利用課題名 / Title

機能性成分の構造解析、化合物の純度確認

利用した実施機関 / Support Institute

公立千歳科学技術大学 / Chitose IST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

核磁気共鳴/ Nuclear magnetic resonance,核磁気共鳴/ Nuclear magnetic resonance


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

樋口 央紀

所属名 / Affiliation

株式会社機能性植物研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

CT-005:核磁気共鳴装置(NMR)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

本研究では、桑の葉から精製した1-デオキシノジリマイシン(1-DNJ)の純度を、定量NMR(qNMR)を用いて評価した。試料および内部標準物質をバイアル瓶に秤量し、重水(D2O)およびTSP-d4溶液を添加して溶解後、NMR管に移し測定を実施した。NMR測定は、プローブ温度30℃、取得時間(AQ)8秒、積算回数16回の条件で行った。得られたスペクトルから、内部標準物質との積分値比を用いて1-DNJの純度を算出した。純度を算出したところ、Lot.Aでは、101%、Lot.Bでは101%となった。繰り返し測定(n=3)での標準偏差は、2%以下であった。以上のことから、桑の葉から分取精製した1-デオキシノジリマイシン(1-DNJ)は、定量分析用の標準試薬として使用できると考えられた。

実験 / Experimental

定量NMR(qNMR)を用いたサンプルの測定方法は、サンプルおよび内部標準物質をバイアル瓶に秤量し、重水(D2O)およびTSP-d4溶液を添加して溶解後、NMR管に移し測定を行った。NMR測定は30℃のプローブ温度で、取得時間(AQ)8秒、積算回数16回の条件で実施した。

結果と考察 / Results and Discussion

 本研究では、桑の葉から精製した1-デオキシノジリマイシン(1-DNJ)の純度を定量NMR(qNMR)により評価した。qNMRは、内部標準物質を用いた相対定量法によって試料の純度を算出できるため、標準試薬の評価や定量分析に適した手法である。
 測定のため、試料および内部標準物質をそれぞれ秤量し、重水(D2O)およびTSP-d4(1 mg/mL)溶液を添加した。十分に溶解させた後、NMR管に移し、プローブ温度30℃、取得時間(AQ)8秒、積算回数16回の条件で測定を実施した。測定後、得られた¹H-NMRスペクトルにおいて、1-DNJと内部標準物質のピークを同定し、それぞれの積分値を比較することで純度を算出した。純度の算出結果として、Lot.AおよびLot.Bともに101%という値が得られた。一般に、qNMRにおける純度測定では、試料の秤量誤差、溶媒の影響、およびNMRの積分精度による誤差が含まれるが、本測定では繰り返し測定(n=3)を行い、標準偏差が2%以下であることを確認した。このことから、測定の再現性は高く、誤差の範囲内で信頼性のある結果が得られたと考えられる。また、得られた純度が100%を超える理由として、以下の可能性が考えられた。
試料の水分や残存溶媒の影響
 精製過程でわずかに残留した水分や溶媒が試料に含まれている可能性がある。これにより、実際の試料質量がわずかに多く見積もられた可能性が考えられた。
内部標準物質の純度誤差
 内部標準物質(TSP-d4)の純度が理論値と完全に一致していない場合、測定結果に影響を及ぼす可能性が考えられた。
NMRの積分精度の影響
 積分精度は通常高いものの、測定条件やピークの選択によってわずかな誤差が生じることが考えられる。
以上より、桑の葉から分取精製した1-DNJは、高純度であることが示された。さらに、qNMRによる測定の再現性が良好であることから、標準試薬としての利用が可能であると考えられた。今後、本試料を標準試薬として活用する際には、水分や溶媒の影響を最小限に抑え、内部標準物質の純度も厳密に管理することで、より精度の高い定量評価が可能になると考えられた。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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