【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.05.19】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24MS1080
利用課題名 / Title
金属要求性二次代謝産物生合成酵素の反応機構解析
利用した実施機関 / Support Institute
自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
ESR, 酵素, 天然物生合成,未利用資源の有効利用技術/ Technologies for effective utilization of unused resources
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
森 貴裕
所属名 / Affiliation
東京大学大学院薬学系研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
伊木 志成子,藤原 基靖
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
スルホンアミド基は医薬化学においてよく利用される構造であり、一般的にスルホンアミド基を含む化合物は多様な生物活性を示すことが知られている。しかし、スルホンアミド基を有する天然物は稀であり、その生合成に関してはほとんど解明されていない。アルテミシジンは、放線菌Streptomyces sioyaensis SA-1758から単離されたスルホンアミド系抗生物質であり、高い抗腫瘍活性を持つことが報告されている。特徴的な6-アザインダン骨格とアミノアシル化されたスルホンアミド基を併せ持つ構造であり、スルホンアミド基の付与およびアミノアシル化は生物活性の強度、選択性に重要であることが知られている。
当研究室において、Streptomyces sp. NCIMB 40513からアルテミシジンおよびその類縁体の生合成遺伝子クラスター(sbzクラスター)を同定しており、その中で、酸化酵素SbzMはスルホンアミド基の形成を担っている。試験管内における酵素反応解析において、SbzMはNiを利用しスルホンアミド基形成反応を触媒することが明らかとされており、その反応機構に興味が持たれた。
実験 / Experimental
精製した酵素を用いて酵素反応を行う際に、反応を異なる時間で終結させ、液体窒素にて凍結させたサンプルを分子研に持参し、Bruker社製E580を用いて測定、解析を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
酵素反応時間を30秒、5分、30分、1時間、overnightと変化させたサンプルをESRで解析した結果、30秒反応のサンプルにおいて、約3000G付近にコントロールでは見られない新たなシグナルが観測された(図1)。5分反応のサンプルでは、30秒反応に比べてそのピークのシフトが確認され、この変化は30分反応まで継続して観測された。1時間後もシグナルは検出されたが、overnightサンプルでは減弱していた。これらの結果から、このシグナルは酵素反応中に一過的に生成される活性中間体に由来する可能性が示唆された。現在、変異体酵素や基質アナログを用いた反応解析を進めており、中間体の構造と反応機構の詳細な解明を行っている。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1. 酵素反応生成物のESR解析(A)酵素溶液のみ(B)30秒間(C)5分、(D)30分(E)1時間、(F)overnight反応させたサンプルの結果
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
測定、解析を行うにあたり、使用方法から詳しく教えていただきました、藤原基靖様、伊木志成子様に深く感謝いたします。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件