利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.04.16】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24MS0043

利用課題名 / Title

ニードル型金クラスターの実空間観察と構造解析

利用した実施機関 / Support Institute

自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

原子間力顕微鏡, 配位子保護金クラスター,走査プローブ顕微鏡/ Scanning probe microscope


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

高野 慎二郎

所属名 / Affiliation

東京大学大学院理学系研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

濵﨑佑哉

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

湊丈俊,熊谷崇,西田純

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

MS-204:走査プローブ顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

有機配位子によって保護された金クラスターは一般的な分子と同様の離散的な電子構造を持つ。その幾何構造と電子構造は密接に結びついており、例えば棒状のような異方性を持った構造を有する金クラスターは近赤外光領域に特徴的な光吸収帯を持つことから、近赤外バイオイメージングや光熱変換への応用が期待されている。一方で、その構造を決定するためには単結晶X線回折法などの方法が必要であるが、金クラスターは全体として数nmのサイズを持つことから、単結晶化は決して容易ではない。そこで、本研究では単結晶化が必要ない走査プローブ顕微鏡による原子レベルでの分子外形の取得を目指し、分子研保有の最先端走査プローブ顕微鏡を利用したクラスターの実空間観察を目指した。

実験 / Experimental

サンプルはその吸収スペクトルと質量分析結果によって異方性構造を持つと推定されているAu114(SR)80 (SR = チオラート)[1]を利用した。クラスターは課題申請者の所属研究室で合成・精製し、その吸収スペクトルが既報[1]と一致したものを分子研に持参した。分子研では協力研究者の補助のもと、平滑基板(マイカおよびHOPG)上にサンプルの溶液を滴下し乾燥することで観察サンプルを得た。サンプルの観察は協力研究者の指導の下Bruker社製 Bruker Dimension XR Icon NanoElectricalを利用して行った。観察データの解析は分子研で測定を行いながら協力研究者と共同で行い、データの解釈に関して議論した。

結果と考察 / Results and Discussion

観察対象としたクラスターは短軸2~3 nm、長軸7~8 nmといった極微小のサイズを持つ粒子であり、観察条件の最適化をまず行った。具体的には最初比較的広い領域をスキャンして粒子を発見し、その後観察領域を狭めていく流れである。結果として、広い領域でのスキャンではいくつか孤立した粒子様の物体が観測できたため、高分解能データを得ることを目的として微小領域でのスキャンを試みたが、粒子が全く観察されないと言う結果を得た。この事象は再現性があり、その理由としてプローブへの吸着が起きている可能性が高いと結論した。配位子は疏水的であるため、基板との相互作用を変える目的で親水性のマイカおよび疎水的なHOPG双方を検討したが、結果は変わらなかった。そのため、比較的広い領域の観察ポイント数を大きくした上で1スキャンでの測定を行い、像を得た。解析の結果いくつかの粒子では棒状の構造が見えたものの、その大きさはまちまちであり、想定した構造とも異なる粒子もあったことから、現時点で決定的な異方性の証拠と考えるには不十分であると結論した。今後は別のサイズの棒状粒子の観察も合わせて行うことで、得られた像の信頼性を上げたいと考えている。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

参考文献[1] L. Luo et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 2024, 121, e2318537121. 実際の測定の指導・データの解釈に関して協力研究者としてご尽力いただいた分子研の湊丈俊主任研究員、熊谷崇准教授、西田純助教に感謝します。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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