【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.05.26】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24MS0027
利用課題名 / Title
有機合成に貢献する革新的な実験条件最適化機械学習手法の開発
利用した実施機関 / Support Institute
自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
未利用資源の有効利用技術
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
武田 和宏
所属名 / Affiliation
静岡大学工学部化学バイオ工学科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
服部 美佑
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
鈴木 敏泰,椴山 儀恵
利用形態 / Support Type
(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub),機器利用/Equipment Utilization
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
全フッ素ハロゲン化ペリレンは炭化水素系ペリレンとも全フッ化ペリレンとも異なる電子状態を有するため、機能性有機材料として期待されている。これまでに、分子科学研究所の椴山グループにおいて全フッ素ハロゲン化ペリレンの有機合成が達成されている。しかし、最終段階のF8ペリレンのハロゲン化反応の収率は他の合成工程に比べ収率が格段に低く、多くの工程が必要であることから、様々な反応条件で多くの実験を行うことは極めて困難である。申請者らは椴山グループとの共同研究において、仮想変数を用いて対象分子間の関係を表現し、未実験条件での実験値を高精度で予測する革新的な機械学習手法を新たに開発した。そこで本研究では、この手法をF8ペリレンのハロゲン化反応に用いることで、F8ペリレンのハロゲン化反応に関する実験データを用いることなく、実験が容易な予備検討反応である「F7およびF6ナフタレン」のハロゲン化の実験収率と仮想変数のみで、標的反応であるF8ペリレンのハロゲン化反応の収率を予測し、反応条件の最適化を行うとともに、本機械学習手法の有効性を検証することを目的とする。本申請で提案する革新的な実験条件最適化の有効性が確認できれば、これまで個別に議論されてきた様々な反応を統合して検討することができ、有機合成反応開発を飛躍的に加速することに寄与できる。
実験 / Experimental
機械学習の開発に用いるF7およびF6ナフタレンのハロゲン化に関する実験データの収集は、支援機関に属する椴山グループに行ってもらった。当該実験データをもとに、申請者らが所有する高速大容量ワークステーションにより、フルオロナフタレンの関係を表す仮想変数を機械学習により求めた。求めた仮想変数をF8ペリレンに適用することにより、F8ペリレンとF7およびF6ナフタレン群の関係を表す仮想変数を求め、未実験であるF8ペリレンのハロゲン化について、様々な実験条件での収率を機械学習により予測した。予測結果を検証するため、支援機関を訪問してF8ペリレンのハロゲン化反応を実施し、探索した条件でのハロゲン化予測収率を実験化学的に確かめた。なお、反応に用いるF8ペリレンや試薬は、椴山グループにて準備されたものを用いた。
結果と考察 / Results and Discussion
F8ペリレンとF7およびF6ナフタレン群の関係を表す仮想変数を用いてF8ペリレンの収率を予測したところ、Mg試薬の当量4.0、反応温度25℃、反応時間4.0時間が最大収率46%と予測された。当該条件を実験したところ、収率3%程度であった。このとき、不溶性の固体が析出することが観察されたことから、ヨウ素化が進行しづらいことが考えられる。また、F7とF6ナフタレンで実験条件に対する傾向が異なることが判明したため、機械学習で予測モデルを構築した際のデータを見直す必要性が示唆された。今後、機械学習の視点と有機化学の視点の両面からデータを選定し、再構築する予測モデルと実験を行う重要性が示された。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
-
Kazuhiro Takeda, Prediction Method for Reaction Yield of Deuteration of Polyfluoroperylene using Generative AI Techniques, Computer Aided Chemical Engineering, , 2689-2694(2024).
DOI: 10.1016/B978-0-443-28824-1.50449-X
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- Takeda Kazuhiro, Ohtsuka Naoya, Suzuki Toshiyasu, Momiyama Norie, “PREDICTION METHOD FOR REACTION YIELD OF DEUTERATION OF POLYFLUOROPERYLENE USING GENERATIVE AI TECHNIQUES”, European Symposium on Computer Aided Process Engineering and International Symposium on Process Systems Engineering (ESCAPE34-PSE24), 2024年6月30日
- 服部 美佑,大塚 尚哉 ,鈴木 敏泰 ,椴山 儀恵,武田 和宏,“ポリフルオロペリレンのヨウ素化における仮想変数を用いた高信頼の外挿予測”, 第67回自動制御連合講演会, 令和6年11月24日.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件