【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.04.25】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24NI0408
利用課題名 / Title
メスバウアー分光法による幾つかの酸化鉄の構造解析
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋工業大学 / Nagoya Tech.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
地球環境、酸化鉄、構造解析,メスバウアー分光/ Mossbauer spectroscopy,高度素材識別技術/ Advanced material identification technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
鈴木 茂
所属名 / Affiliation
東北大学マイクロシステム融合研究開発センター
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
篠田 弘造
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
壬生 攻
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
身の回りの酸化鉄の例として鉄鋼の腐食生成物(鉄さび)があり、鉄さびには様々な種類がある[1, 2]。それらが生成する条件(乾湿繰り返しなどの地球環境)も様々であり、たとえば鉄さびには短期間でできるものも、古い文化財の和釘や長期間で生成する低合金鋼の上の鉄さびもある。それらを調べるのに、形態観察、組成分析、構造解析など多くの方法がある。ここでは、長期間で鉄の上に生成する鉄さびに着目し、大よその形態や化学組成を電子顕微鏡や付属する分光器で調べ、また主成分や粒子サイズ等を調べるのに57Feメスバウアー分光測定法を用いた。
実験 / Experimental
ここでは長期間で生成する鉄さびとして、仙台の愛宕神社の和釘上の鉄さび(試料1)、および防食分野の鉄さびとしては、低合金鋼(0.1C, 0.2Si, 0.8Mn, 0.07Mn, 0.01S, 0.3Cu mass%)を約25年大気に暴露して生成した鉄さび(試料2)を用いた。それらの粉末を、透過電子顕微鏡(TEM)観察とエネルギー分散型X線分光(EDS)分析用にグリッドに分散させて試料とした。一部の試料中のFe周囲の局所構造の情報を得るために、粉末試料のX線吸収分光法(XAFS)測定も行った。さらに、57Feメスバウアースペクトル測定には粉末を高純度アルミニウム箔で挟み試料とし、それらを透過法により約300Kと約78Kで測定していただいた(名古屋工業大学装置:NI-004)。ドップラー速度は±10 mm/sの範囲であり、速度校正用にはbcc構造のFe箔を用いた。実測スペクトルは鉄系化合物の成分に分離するために、幾つかの化合物のサブスペクトルの重ね合わせでフィッティングを行った。
結果と考察 / Results and Discussion
試料1と試料2の粉末をTEMで観察した時の回折図形においては、連続的な回折リングのほかに回折斑点も観察された。回折斑点は、試料2の方は試料1よりも明瞭でない傾向があり、これは試料2に微細な粒子が含まれていることが示唆された。また、EDSによる分析結果は場所にもよるが、試料1を構成する主成分の組成はO: 33、Al: 0.1、Si: 20.0、Mn: 0.2、Fe: 35、Cu: 11mass%であり、試料2では主成分の組成はO: 32、Al: 0.04、Si: 0.07、Mn: 0.5、Fe: 59、Cu: 8%(mass%)であった。また、XAFS測定の結果では、酸化鉄中のFeはいずれも三価になっており、第二隣接のFe-Feの相関に違いが僅かに見られた。さらに、57Feメスバウアースペクトルではgoethiteやhematiteの成分が見られ、高温で製造された時の影響を受けていると推察される。また、低温で超常磁性によるサブスペクトルの割合が大きく、酸化鉄の粒子が微細になっていることが思われる。 以上の結果から鉄さびの実態を明らかにするには、多面的な解析が必要であることが示唆された。また、低合金鋼に含まれる微量添加元素は、酸化鉄を形成するポリカチオンが連結するときに重要な役割を演じていることを示唆していると考えられる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
参考文献 [1] 那須三郎:Zairyo-to-Kankyo,
54 (2005), 45-52. [2] S. Suzuki: ISIJ International, 62 (2022), 800–810.
謝辞 本研究の一部は、文部科学省「マテリアル先端リサーチインフラ」事業((課題番号
JPMXP1224NI0408)の支援を受け名古屋工業大学で実施されました。壬生攻教授をはじめ関係者に深く感謝申し上げます。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件