利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.04.10】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24AT5054

利用課題名 / Title

ペロブスカイト薄膜の陽電子消滅寿命分光

利用した実施機関 / Support Institute

産業技術総合研究所 / AIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies

キーワード / Keywords

ペロブスカイト, 陽電子消滅寿命分光, 複合材料 


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

北浦 守

所属名 / Affiliation

山形大学理学部

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

満汐孝治,鈴村栄里

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AT-501:陽電子プローブマイクロアナライザー(PPMA)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

ペロブスカイト鉛ハライドは太陽電池や蛍光体として注目される材料である。この物質の量子ドット薄膜ではどうような欠陥が存在するのか、申請者の知る限り一件の報告があるだけで、空孔型欠陥についてはほとんど手付かずのままである。そこで、ペロブスカイト膜の陽電子消滅寿命分光を測定した。

実験 / Experimental

研究に用いたペロブスカイト鉛ハライド膜は液相合成して得られた量子ドットをガラス基板上にスピンコートして成膜して得た。その膜厚は約100 nmであった。PALS実験には陽電子プローブ マイクロアナライザー(PPMA)を用いた。既知の寿命値を持つYSZのPALSスペクトルを測定して、バックグラウンド成分を評価し、寿命解析の際に引き算して取り除いた。PALSスペクトルを解析して得た結果を理解するためにバルク寿命の計算を第一原理計算プログラムABINITを用いて行った。CIFデータを初期構造として内部座標を最適化した後、陽電子消滅確率を算出し、その逆数を陽電子消滅寿命とした。

結果と考察 / Results and Discussion

鉛ペロブスカイト膜のPALSスペクトルは3つの指数減衰関数の和で再現された。長寿命成分はガラス基板の寿命値とよく一致した。膜は材料を複合化しているため一様ではなく打ち込んだ陽電子ビームがガラスに達して消滅したと思われる。中間寿命値は約340 psから370 ps の間に分布しており、この成分が主成分であった。第一原理計算の結果、バルク寿命は340 psであり、中間寿命値とほぼ一致する。従って、この成分が鉛ペロブスカイトのバルク状態での陽電子消滅に起因すると考えられる。一方、約100 psから200 psの短寿命成分もまた見られており、中間寿命成分をバルク成分に対応付けると短寿命成分の帰属を行うことが難しい。一つの可能性として短寿命成分はガラス基板での陽電子消滅に起因すると考えられる。実際に、過去に測定して解析した石英ガラスの陽電子消滅寿命には100 psから200 psの寿命成分が見られていた(340 psから370 psの中間寿命成分はみられなかった)。この事実は短寿命成分がペロブスカイト膜での陽電子消滅ではないことを示唆する。従って、中間寿命成分がペロブスカイト膜での陽電子消滅寿命であると考えられ、液相合成したペロブスカイト膜に空孔型欠陥はほぼ存在しないと思われる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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