利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.03.12】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24KT2282

利用課題名 / Title

共鳴格子を用いた高感度屈折率センサーの作製

利用した実施機関 / Support Institute

京都大学 / Kyoto Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions

キーワード / Keywords

ナノインプリント,シリコンモールド,誘電体格子,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,膜加工・エッチング/ Film processing/etching


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

川田 博昭

所属名 / Affiliation

大阪公立大学 大学院工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術代行/Technology Substitution


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KT-234:深堀りドライエッチング装置(1)
KT-203:電子線蒸着装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

基板上の金の反射膜上に誘電体格子構造を作製し、溶液内でその光反射率スペクトルを測定すると、光共鳴により特定の波長で反射光強度は極小となる。共鳴を起こす波長は溶液の屈折率に依存するので屈折率センサーとして利用できる。このような屈折率センサーを量産性の良いナノインプリント法を用いて作製することを目的とする。ナノインプリント法はモールド表面の微細構造をプレスにより樹脂表面に転写する方法であるので、良好なモールドを作製することが大変重要である。このためのシリコンモールドを作製した。

実験 / Experimental

オリジナルのモールドは大変高価であるので、オリジナルモールドを基にレプリカモールドを作製しインプリントを行うのが一般的である。本実験ではシリコンのレプリカモールドを作製した。まずシリコン基板上にオリジナルモールドを用いて周期600nmのポリスチレン格子パターンまで作製したものを準備した。ポリスチレンパターンをマスクにして京大ナノハブ拠点にある深掘りエッチング装置(KT-234)を用いて格子パターン付きのシリコンモールドを作製した。ナノインプリント用モールドとして利用するにはパターンの側面がスムーズであることが非常に重要である。このためエッチングとデポジションを0.4秒程度の短時間で繰り返すことにより側面に余計なスキャロップ構造が出ないようにした。
作製されたシリコンレプリカモールドの断面形状をSEMで観測した。また、実際に金反射膜付きシリコン基板上のポリスチレン薄膜にナノインプリントを行い、その光学的特性を測定した。

結果と考察 / Results and Discussion

SEM観察によるレプリカモールドの断面構造を図1に示す。高さ507nm(目標値500nm), 周期594nm(目標値 600nm), 格子幅239nm(目標値 300nm)のシリコン格子構造が得られた。格子高さは深掘りエッチングの繰り返し回数で決まりほぼ目標どおりのものが得られた。格子幅は若干小さくなっているが、これは深掘りエッチングのマスクの寸法誤差から生じたものと思われる。深掘りエッチングの前に行うデスカムプロセス(酸素プラズマによるレジスト残渣の除去プロセス)もパターン幅減少の原因になると考えられる。SEM観察(倍率30,000倍)ではレプリカシリコンモールドの側面にスキャロップによる荒れは見られなかった。
作製できたレプリカモールド表面に離型処理を行い、金反射膜付シリコン基板上の厚さ250nmのポリスチレン薄膜に熱ナノインプリントを行った。インプリントで作製された格子パターンの底面にポリスチレンの残膜が残っていた。この残膜を取り除くために酸素プラズマによる反応性イオンエッチング(RIE)を行った。残膜処置後のポリスチレンパターンを図2に示す。残膜処理によりモールドの格子寸法との差が見られるが、ほぼ目標としたポリスチレン格子構造がえられていることがわかる。
作製されたデバイスの光学特性を測定した。今回は波長スペクトルを測定するかわりに一定波長の光源を用いてその入射角を変化させた。格子底面に作製されたデバイスをエタノールと水の混合溶液内に入れ、He-Neレーザー光の入射角度を変えながら反射光強度を測定した。反射光強度が極小となる入射角はエタノールの濃度、すなわち水溶液の屈折率によって変化することが確かめられた。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 深掘りエッチングで作製されたシリコンレプリカモールド。



図2 熱ナノインプリントで作製されたポリスチレンパターン。


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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