利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.05.17】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24KT2081

利用課題名 / Title

圧電振動ジャイロの加工と振動特性評価

利用した実施機関 / Support Institute

京都大学 / Kyoto Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials

キーワード / Keywords

シリコン基材料・デバイス,センサ/ Sensor,MEMS/NEMSデバイス/ MEMS/NEMS device,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,光リソグラフィ/ Photolithgraphy,膜加工・エッチング/ Film processing/etching


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

霜降 真希

所属名 / Affiliation

京都大学 大学院工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

高橋歩夢

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KT-103:レーザー直接描画装置
KT-107:厚膜フォトレジスト用スピンコーティング装置
KT-212:シリコン酸化膜犠牲層ドライエッチングシステム
KT-234:深堀りドライエッチング装置(1)
KT-203:電子線蒸着装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 角度や角速度を検出するMEMS振動ジャイロは,一定周期で振動する振動子で構成される.また,検出時2つの振動モードを用いるため,性能が振動子の剛性や減衰に依存する.先行研究では,(100)シリコンを用いて加工誤差に対し剛性が等方となるジャイロを設計し,用いる2つのモードにおいて共振周波数をマッチングさせた.本研究では,それに加え減衰の一つである熱弾性減衰を等方にし,共振周波数と熱弾性ダンピングによるQ値の両方のマッチングを目指し,数値解析によりデザインを決定し,デバイス作製を行った.

実験 / Experimental

 リング型振動子の作製には,デバイス層<Si> 22 µm,犠牲層<SiO2> 2 µm,ハンドル(BOX)層<Si> 400 µm,直径4 インチである(100)単結晶シリコンSOIウエハを使用した.
 レーザー直接描画装置(DWL2000, Heidelberg Instruments:KT-103)を用いてマスクブランクス(レジスト/Cr/ガラス)にパターンを描画した後,レジスト現像装置(KD-150CBU,カメナックス:KT-110)を用いて現像,クロムエッチング液(エスクリーンS-24,佐々木化学薬品)によるエッチング,アセトンにマスクを浸漬させてレジストを剥離(1段階目),ウエハスピン洗浄装置(KSC-150CBU,カメナックス:KT-111)を用いてピラニア洗浄をし,レジストを完全に剥離した(2段階目).
 金属パターン転写用・デバイスパターン転写用のどちらにも5インチマスクブランクスを使用した.電極パターンには,振動子周りの電極・振動子本体に電圧を印加するのに使用する・電極パッド・振動子周りの使用しないデバイス層をグランドに落とす電極パッドを配置した.
 ウエハ裏面に形成された酸化膜を取り除くため BHF洗浄を行い,その後ピラニア洗浄をドラフト内で実施した.
 電子蒸着装置(EB-1200,キヤノンアネルバ:KT-203)を用いてクロム20 nm,金200 nmを順番に蒸着した.クロムはSOIウエハと金の接着層として,金はワイヤーボンディング用コンタクトパッドの材料として用いた.
 ウエハとレジストの密着性を高めるため,ホットプレートを用いて脱水ベークを行い,また厚膜フォトレジスト用スピンコーティング装置(DELTA80 T3/VP SPEC-KU, SUSS MicroTec:KT-107)を用いてHexamethydisilazane(HMDS)処理を行うことで,ウエハ表面を疎水性にした.その後,マニュアルスピンコータを用いてウエハ上にネガレジスト(ZPN1150-90,日本ゼオン)を塗布,両面マスク露光&ボンドアライメント装置(MA/BA8 Gen3 SPEC-KU, SUSS MicroTec:KT-119)を用いて露光後,レジスト現像装置(KD-150CBU,カメナックス:KT-110)を用いて現像した.
 ドラフト内で金エッチング液(AURUM302,関東化学)を用いて金を12分0秒,クロムエッチング液(エスクリーンS-24,佐々木化学薬品)を用いて20秒エッチングした.
 金属パターンのときと同様にホットプレートを用いて脱水ベークを行った.また,厚膜フォトレジスト用スピンコーティング装置(DELTA80 T3/VP SPEC-KU, SUSS MicroTec:KT-107)を用いてHexamethydisilazane(HMDS)処理を行い,ウエハ表面を疎水性にした.その後,マニュアルスピンコータを用いてウエハ上にポジレジスト(TCIR-ZR8800,東京応化工業)を塗布,両面マスク露光&ボンドアライメント装置(MA/BA8 Gen3 SPEC-KU, SUSS MicroTec:KT-119)を用いて露光後,レジスト現像装置(KD-150CBU,カメナックス:KT-110)を用いて現像した.
 深掘りドライエッチング装置(RIE-800iPB-KU,サムコ:KT-234)を用いてBoschプロセスによる深掘りエッチングを行った.
 シリコン酸化膜犠牲層ドライエッチング装置(MLT-SLE-Ox,住友精密工業:KT-212)を用いて犠牲層をHFガスによりエッチングし,可動部を基板からリリースした.
【利用した他の装置】
KT-119:両面マスク露光&ボンドアライメント装置、KT-210:ドライエッチング装置、KT-227:赤外透過評価検査・非接触厚み測定機、KT-108:レジスト塗布装置、KT-110:レジスト現像装置、KT-111:ウエハスピン洗浄装置

結果と考察 / Results and Discussion

 デバイスの寸法について説明する.面取り矩形支持ばねを有するリング型ジャイロのSEM画像をFig. 1に示す.支持梁幅は5.2 µm程度,リング幅は5.3 µm程度だった.設計値ではFig. 2の通りどちらも5 µmであったため想定よりも太くなった.これは梁幅周りの線幅が3 µmであったことから線幅における深掘りエッチングのレートが小さかった,または露光量が少なかったことが原因として考えられる.

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 Fabricated resonator (left) overall view and (right) enlarged view of the device.



Fig. 2 New ring resonator design.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)



成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. Ayumu Takahashi, Masaki Shimofuri, Amit Banerjee, Jun Hirotani, Toshiyuki Tsuchiya, "(100) silicon ring gyroscope with rectangle springs aiming at frequency and thermoelastic Q-factor matching", MNC2025, 令和6年11月15日
  2. 高橋歩夢,霜降真希,Amit Banerjee,廣谷潤,土屋智由,"(100)単結晶シリコンリング型振動ジャイロにおける矩形支持ばねを用いた共振周波数とQ値の同時マッチング",第15回マイクロ・ナノ工学シンポジウム,令和6年11月26日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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